研究実績の概要 |
機能性RNAであるmicroRNA(miRNA)は, mRNAの3’末端非翻訳領域に配列相補的に結合することによりその遺伝子の発現を調節しており, 癌幹細胞においてmiRNAによりその特性である薬剤耐性や浸潤・転移が制御されていることが示唆されている. 我々は, 今年度の研究課題である食道癌患者血清中におけるmiRNAの網羅的発現変動解析について東レの3D-Geneシステム(搭載されているmiRNA検出用オリゴDNAプローブ数は2,565個)を用いて解析を行った. リンパ節転移のない群に対し, リンパ節転移がある群(術前化学療法後再発例含む)では, 33個のmiRNA(miR-4433b-3p, miR-4513, miR-4717-3p, miR-4726-5p, miR-4728-5p, miR-4731-3p, miR-6499-5p, miR-6511a-3p, miR-6511b-3p, miR-6721-5p, miR-6737-5p, miR-6742-5p, miR-6819-5p, miR-6827-5p, miR-6877-3p, miR-708-5p, miR-125b-1-3p, miR-1273a, miR-1285-3p, miR-138-1-3p, miR-1825, miR-2467-3p, miR-3127-5p, miR-3180-5p, miR-3194-5p, miR-320d, miR-3619-3p, miR-3689d, miR-4281, miR-4433-3p, miR-7106-5p, miR-718, miR-887-5p)が有意に発現変動を示した. このmiRNAの発現変動より,ターゲット遺伝子群を解析した結果, 細胞増殖pathwayや基底膜や細胞外マトリックス分解酵素などに関連することが示唆された.
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