研究課題
本研究は、増加しつつある胃上部早期胃癌に対して施行する、腹腔鏡下噴門側胃切除術後の再建術式別の機能評価を行って、最も生理的で有用な再建法を見いだし、標準術式を確立することを目的としている。これまでの検討では、腹腔鏡下噴門側胃切除術後Double tract法再建(DT)、空腸間置法再建(JI)、腹腔鏡下胃全摘Roux en Y再建(TG)において各4例ずつの機能評価の集積が得られている。この結果、DT群で食後30分後の血糖値の上昇が抑制されたものの血中インスリン濃度に差は無く、GLP-1はDT群でむしろ低値であった。試験開始前の予想では、GLP-1はDT群において高値を示すと予想していたため、この差異を検索中である。以前機能評価の検査は仰臥位にて施行していたが、今回の検査は坐位で行っているため、この変更が消化管ホルモン分泌動態の差異を生じた可能性がある。この仮説を検討するため、他の術式における過去のデータとの比較を行うこととした。すなわち、腹腔鏡下幽門側胃切除術後Billroth1(B1)法再建とRoux en Y(RY)再建患者を対象にして、術後1年の時点で4例ずつの患者に対して坐位による同様な検討を行ない、以前行った仰臥位でのデータとの比較を行うこととした。その結果、基本的に仰臥位における検討結果に近いものであった。坐位における検討の方がより生理的な食事摂取に近いため、引き続き、坐位による検討を続け、新しく得られたデータに解析を加える予定である。食道残胃吻合(EG)症例を含め、症例集積はやや遅れているが、本年初年から術後1年の機能評価の施行時期に入るので、EGも含めた4群での機能評価の検討を加速して行う予定である。
3: やや遅れている
術後機能評価を行う際に、これまでは患者を仰臥位として検査を行っていたが、食事摂取時のより生理的な情況に近づけるために、坐位にて行うこととした。この結果、前述したような予想に反するデータが得られたため、他の術式においても比較を行うこととした。すなわち、腹腔鏡下幽門側胃切除術において仰臥位と坐位での比較を行ったところ、術式間でのデータの差異は小さくなるものの基本的には大差が無いことが確認出来た。このような検討を間に行ったため、遅れを生じた。
手術術式の安全性および機能評価法の安定性がほぼ確認されたため、今後は早急に症例数を増やし、早急に各術式10例ずつを達成させる予定である。
次回の1人分の血中ホルモン測定費用が64312円を超えるため、次年度にまとめて提出予定であったため。
次年度の血中ホルモン測定費用がこれまでで一番多くなることが予想され、併せて計画的に使用する予定である。
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