食道がんは日本人での頻度が高く、進行症例や化学療法無効症例では緩和ケアー等に移行することになり、多くの場合予後不良である。東アジア人の当該患者における全ゲノム配列決定の結果によると、p53遺伝子とその下流の異常が約半数以上の症例で見られ、これは同経路の正常化が主たる治療目標であることを示唆している。そこで本研究では、従来の治療法とは全く異なり、組換型で増殖性アデノウイルスによる遺伝子医薬、およびp53経路の活性化に関与する分子標的薬の有用性について検討し、p53経路の活性化が同遺伝子医薬の殺細胞効果を増強することを見出した。しかし、当該分子標的薬で有用性を示したものはなかった。
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