研究課題
胃がん患者を早期発見できるバイオマーカーの同定を行うため、がんで高頻度に変異が見られる領域に限定しメガベースオーダーでのエクソーム解析をコホートスタディで追跡中に胃がんを発症した22例と健常者コントロール20例で行った。さらに3例の胃がん及びその非癌部について同様の解析を行い、同定された10か所の遺伝子変異をキャピラリーシークエンサーで確認した。その結果未知の変異3つを含む7か所の変異が確認され、1か所のみが、非癌部にも同様の変異が確認された。さら遺伝子変異や多型の解析を行うため、コホートでの胃がん発症例を追加し、胃がん40症例と健常40症例で行うため核酸の抽出を行った。また胃がん及び同一患者の非癌部から得られたDNAペアは約300症例ですでに抽出されており、これらの症例についての臨床情報の収集を行った。
2: おおむね順調に進展している
胃がん症例のコフォート研究から追跡調査での胃がんの発症症例のピックアップと核酸抽出が終了し、胃がん発症症例40例と非癌症例(75歳までがんの既往歴、家族歴がなく腫瘍マーカーが陰性であった症例)40例それぞれ男女20名ずつを集めることが出来た。このうち胃がん発症症例、非癌症例それぞれ20例の解析が終了し、残りそれぞれ20例のDNA抽出も終了した。さらにがんと非癌部の解析のパイロット研究およびその同定された変異のキャピラリーシークエンサーでの解析が終了し、おおむね良好な確認結果が得られた。この結果をもとにさらに解析を進めるため、Ion Torrent Protonのアップグレードされた新しい試薬での試験解析を進めており、次年度の胃がん及び非癌部でのバイオマーカーの同定を試みていく準備が初年度にほぼ整った。
胃がん及び同一患者の非癌部から得られたDNAペアが300症例すでに収集されており、これらについての主ながん関連遺伝子の変異解析データが、共同研究で得られる予定である。これらのデータと症例の組織系、進行度、予後、及び治療経過、臨床情報を基に症例を40例ピックアップし、次世代シークエンサーを用いた解析を行う予定である。さらに共同研究により胃がんコホートで得られる生殖細胞遺伝子の変異・多型解析結果を加え、胃がんの発症や予後に関係するバイオマーカーの同定のための解析を進める。解析は409のがん関連遺伝子の全エクソンを解読することで、1.75Mbの領域の配列解読を癌および非癌部で行う。このことでHotSpot以外の比較的希少ながん関連遺伝子の機能的にがんに関与すると考えられるアミノ酸の変化や転写終了コドンを創出するミッセンスおよびナンセンスミューテーションを同定し、胃がんでの新たな機能関連遺伝子の同定を図る。
初年度の研究は、研究所との共同研究で別予算によって進められたものを利用することが出来た。さらに腫瘍の解析を開始するにあたり、Ion Torrent Protonの試薬がアップグレードされより正確な解析が行えるとの情報がえられたため繰り越しを行い新しい試薬で研究を進めることとした。
新しい試薬が4月より販売されたため昨年度繰り越し予算を用い、解析を行う計画である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件)
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