研究課題
欧米に比べ日本の胃がん罹患率は高く、ピロリ菌の除菌により罹患率減少は認められるが、2016年の胃がんによる死亡者数は未だ男性2位、女性3位と多くの患者の命を奪っている。優れた早期発見もしくは効果的治療法予測バイオマーカーが必要である。胃がんマーカーには、EGFRやCEAが用いられているが、診断、治療効果判定、予後評価に有用なバイオマーカーとは必ずしも言えない。そこで、新たなバイオマーカーが探索できないか、もしくは治療前のバイオプシーや擦過、もしくは血中の細胞やDNAを利用してがんの治療、診断を試みることができないか等の検討を行うため、がん関連遺伝子400以上のExome解析を、胃がん症例100症例以上でIon Torrent Proton, Ion Torrent PGMシークエンサーを用いて検討した。この結果と当施設で同定した胃がんのリスクファクターと考えられるアミノ酸変化やストップコドンを示す多型(SNP)も比較検討した。遺伝子解読は、平均1000回程度の読みとり回数で、一症例あたり10万円以下で解析する当施設で確立した解析系を使用し、遺伝子解読解析による、遺伝子変異・多型・コピー数解析を一度に進め、臨床症状や既存の臨床所見、治療感受性などとの相関についても検討を行った。メガベースオーダーでシークエンスができる一般診療に普及可能な包括的バイオマーカー解析によって胃がんMutation Signatureを同定し、臨床診断また生殖細胞多型による胃がん治療薬剤決定、予後予測、リスク解析へ結びつける検討も行った。残念ながら、臨床初見との相関解析では有意な相関を示すものは得られなかったが、今後症例を増やし検討できればと考えている。また遺伝子機能に影響すると考えられる生殖細胞多型が本研究に伴い発見されたため、この多型と胃がんリスクの関連も今後検討が必要と考えている。
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