• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

HER2,FGFR2 陽性胃癌に対する分子標的治療と手術を組み合わせた集学的治療

研究課題

研究課題/領域番号 26462003
研究機関愛知県がんセンター(研究所)

研究代表者

伊藤 友一  愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 研究員 (80397463)

研究分担者 中西 速夫  愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 研究員 (20207830)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードHER2陽性胃がん / FGFR2陽性胃がん / 細胞株パネル / ハーセプチン耐性株 / 耐性機構 / 分子標的薬
研究実績の概要

1 HER2陽性胃がん、FGFR2陽性胃がん細胞パネルの確立
本年度は新たにHER2高遺伝子増幅胃がん細胞株T-DM1(カドサイラ)耐性株樹立をin vitro, in vivo の両方法で試みた。乳がんのHER2高遺伝子増幅細胞株ではT-DM1治療により皮下腫瘍は顕著な縮小が見られたのに対し、本胃がん細胞株ではハーセプチン(Tmab)に比べれば有意なものの、現時点では著明な腫瘍縮小は認められていない。しかし、in vitroではTmabに比べ著明な細胞死が誘導されることから、重心をin vitro法におきながら、耐性株分離を両面から進めている。胃がんでは乳がんと異なりHER2陽性胃がんに対するT-DM1の臨床試験がnegativeであったことから、本株は日本人HER2陽性胃がんのカドサイラ低感受性の機序を考える上で、貴重なモデルになるものと考えられる。
一方、これまでに胃がん患者腹水から直接培養したFGFR2陽性胃癌細胞 (GPM-5)は依然として安定した増殖能の獲得(株化)には至っていない。今後も継続して株化を進める。
2 各種分子標的薬のHER2陽性胃がん細胞に対する抗腫瘍効果の検討
本年度は上記HER2陽性胃がん細胞株(GLM-1)およびそのTmab耐性株を用いて化学療法、Tmabおよび両者併用のin vitroにおける増殖抑制,アポトーシスについて検討した。その結果、Tmab単独では増殖抑制効果は有意ではなかったが、化学療法とTmabの併用群では耐性株においても相加的以上の強い増殖抑制効果が認められた。この結果はTmab耐性になっても、化学療法に継続してTmabを併用することの有用性を示唆しているものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新たなHerceptin、T-DM1耐性株の作成に成功しつつあり、また新しい化学療法と分子標的薬併用療法のHER2陽性胃がん細胞に対する増殖抑制効果の機序を明らかにしつつあり、概ね所期の目標を達成したので達成度は70%程度と評価する。

今後の研究の推進方策

平成28 年度
1 HER2陽性胃がん、FGFR2陽性胃がん細胞パネルの確立
新しいHER2陽性胃がん、FGFR2陽性胃がん細胞株の樹立およびHER2陽性胃がん株からHER2抗体薬であるハーセプチン,カドサイラ耐性株分離を継続して進める。
2 各種分子標的薬のHER2陽性胃がん細胞に対する抗腫瘍効果および転移抑制効果の検討
今年度樹立予定のGLM-1カドサイラ耐性株細胞株を用いてカドサイラ耐性機序の解析をin vitro, in vivoの両面から行う。
また上記HER2陽性胃がん培養細胞株を用いてTrastuzumab、Lapatinibおよび非可逆的阻害剤のin vitroにおける増殖抑制機序について検討してきたので,今年度はヌードマウス皮下移植モデルおよび腹膜転移モデルなどを用いて上記薬剤のin vivoにおける抗腫瘍効果およびその機序を解析する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の研究にあたり、細胞株樹立の研究は初代培養実験が中心となるため、樹立に長期間を要するものの、培養液などは少量しか必要とせず、培養実験の規模が相対的に多品種だが小規模実験となること、また樹立細胞数が限られた現状ではマウスを使ったin vivo 実験も小規模実験で済むため、消耗品費に関して未使用額が発生した。また、検体のHER2陽性胃がん手術検体の提供がなかなかなく、初代培養実験の回数が予想より少なかったことも理由の一つである。その他、論文での発表がまだ行われていないこと、海外での研究カンファレンスを当該年度は見送ったことも理由に挙げられる。

次年度使用額の使用計画

当該年度に達成できなかった研究、ならびに次年度に計画している研究を、適正に研究費を使用しながら進めてゆく。前述のごとく切除検体提供のチャンスが限られている上、初代培養実験の成功率も限られていることから、既存の樹立株からの耐性株の分離を中心に研究を進めてゆく予定である。それに伴い、次年度は、消耗品の購入が増えることが予想されるため、当該年度の未使用額を有効に利用して行く。また、海外での研究成果の発表と研究カンファレンス、ならびに論文作成も積極的に行ってゆく予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Comparison of intratumoral heterogeneity of HER2 expression2015

    • 著者名/発表者名
      Saito T,Kondo C,Shitara K,Ito Y,Saito N,Ikehara Y,Yatabe Y,Yamamichi K,Tanaka H,Nakanishi H.
    • 雑誌名

      Pathology International

      巻: 65 ページ: 309-317

    • DOI

      10.1111/pin.12290

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Preferential HER2 expression in liver metastases and EGFR expression in peritoneal metastases in patients with advanced gastric cancer.2015

    • 著者名/発表者名
      Saito T, Nakanishi H, Mochizuki Y, Ito S, Ito Y, Misawa K, Yatabe Y, Yamamichi K, Kondo E.
    • 雑誌名

      Gastric Cancer.

      巻: 18 ページ: 711-719

    • DOI

      10.1007/s10120-014-0417-4.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 胃癌内視鏡治療非治癒切除後の外科切除症例に関する検討2016

    • 著者名/発表者名
      伊藤 友一、伊藤 誠二、三澤 一成、田近 正洋、清水 泰博、木下 平.
    • 学会等名
      第88回日本胃癌学会
    • 発表場所
      B-Con Plaza 別府国際コンベンションセンター(別府市)
    • 年月日
      2016-03-18
  • [学会発表] 当院におけるconversion surgery の治療成績2015

    • 著者名/発表者名
      伊藤友一、筒山将之、伊藤誠二、三澤一成、木下敬史、木村賢哉、千田嘉毅、安部哲也、小森康司、清水泰博.
    • 学会等名
      第70回日本消化器外科学会
    • 発表場所
      アクトシティ浜松(浜松市)
    • 年月日
      2015-07-15
  • [学会発表] 新規血液中がん細胞(CTC)分離デバイスと担がんCTCマウスモデルを用いた消化器がんに対する分子標的治療のモニタリング2015

    • 著者名/発表者名
      伊藤 友一、中西 速夫、寺澤 佳代子、遊佐 亜希子、川合 亮佑、夏目 誠治、植村 則久、木下 敬史、木村 賢哉、三澤 一成、千田 嘉毅、安部 哲也、小森 康司、伊藤 誠二、 清水 泰博.
    • 学会等名
      第115回日本外科学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(名古屋市)
    • 年月日
      2015-04-17

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi