研究実績の概要 |
近年の分子標的治療薬の発展に伴い大腸癌肝転移症例の治療成績は飛躍的に向上した.しかし現行の増殖シグナル阻害を中心とした治療法では,代替経路の活性化による悪性形質獲得などの 問題点が次々と明らかになってきており,新たな知見に基づいた治療戦略の構築が求められている.近年癌細胞における脂肪酸代謝の重要性が明らかとなり,Seed and Soil 説に基づく転移との関連も示唆されている.本研究では大腸癌肝転移における脂肪酸酸化の役割を肝転移マウスモデルおよび臨床検体を用いて明らかにし,エネルギー代謝を標的とした新たな肝転移制御戦略の構築へのbreakthroughとすることを目的とし,現在研究を行っている. 平成27年度は,化学療法歴のない大腸癌肝転移20例の原発巣,肝転移巣切除検体,およびコントロールとして5年以上無再発進行大腸癌症例の原発巣50例のFFPE sampleから腫瘍組織を採取.k-ras遺伝子変異を解析し,k-ras変異と脂質代謝との関連を解析中である.
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