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2015 年度 実施状況報告書

炎症性腸疾患患者に対する自己脂肪由来幹細胞治療の安全性と有効性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26462012
研究機関大阪大学

研究代表者

水島 恒和  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄付講座教授 (00527707)

研究分担者 西村 潤一  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20379209)
飯島 英樹  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90444520)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / 脂肪組織由来幹細胞
研究実績の概要

「消化器外科手術に伴う難治性皮膚瘻対する自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた組織再生医療の臨床応用」(UMIN000007316)において、幹細胞治療を実施した炎症性腸疾患(IBD)患者6名の追跡および臨床研究以外の手術症例(IBD患者、非IBD患者)から採取された皮下脂肪組織内に存在する脂肪組織由来幹細胞の特性についての検討を実施した。
臨床研究の対象症例は潰瘍性大腸炎(UC)4例(直腸カルチノイド術後1例)、クローン病(CD)2例であった。全例で脂肪組織の採取、自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞濃縮細胞(adipose-derived regenerative cells:ADRCs)液調整、移植手術が実施可能であり、重篤な合併症は認めなかった。調整された濃縮細胞液の解析の結果では、ADRCs数は中央値7.59×107(9.60×106-1.42×108)、細胞生存率中央値89.2%(84.3-93.0%)、CD45-CD31-CD34+細胞割合は中央値24.2%(1.9-49.7%)であった。瘻孔閉鎖率は4週、12週が83.3%(5/6例)、24週が100%(6/6例)であった。幹細胞治療実施後に実施するCT検査では、治療直後の瘻孔充填部位は確認可能であったが、経過中に瘻孔充填部位が不明瞭となる症例が大半であり、画像による組織再生評価は困難であった。一時的人工肛門が造設されていた5例中4例で人工肛門の閉鎖を実施した。
IBD患者5例(UC2例、CD3例)、非IBD患者6例の皮下脂肪組織内に存在する脂肪組織由来幹細胞の特性の検討では、1gの皮下脂肪組織あたりの脂肪組織由来幹細胞数がIBD患者4.2×104、非IBD患者0.8×104とIBD患者で有意に高く、CD45-CD31-CD34+細胞割合がIBD患者11.39%、非IBD患者3.1%とIBD患者で有意に高かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「消化器外科手術に伴う難治性皮膚瘻対する自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた組織再生医療の臨床応用」(UMIN000007316)において、幹細胞治療を実施した炎症性腸疾患(IBD)患者6名の追跡および臨床研究以外の手術症例(IBD患者、非IBD患者)から採取された皮下脂肪組織内に存在する脂肪組織由来幹細胞の特性についての検討を実施した。
臨床研究の対象症例は潰瘍性大腸炎(UC)4例(直腸カルチノイド術後1例)、クローン病(CD)2例であった。全例で脂肪組織の採取、自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞濃縮細胞(adipose-derived regenerative cells:ADRCs)液調整、移植手術が実施可能であり、重篤な合併症は認めなかった。調整された濃縮細胞液の解析の結果では、ADRCs数は中央値7.59×107(9.60×106-1.42×108)、細胞生存率中央値89.2%(84.3-93.0%)、CD45-CD31-CD34+細胞割合は中央値24.2%(1.9-49.7%)であった。瘻孔閉鎖率は4週、12週が83.3%(5/6例)、24週が100%(6/6例)であった。幹細胞治療実施後に実施するCT検査では、治療直後の瘻孔充填部位は確認可能であったが、経過中に瘻孔充填部位が不明瞭となる症例が大半であり、画像による組織再生評価は困難であった。一時的人工肛門が造設されていた5例中4例で人工肛門の閉鎖を実施した。
IBD患者5例(UC2例、CD3例)、非IBD患者6例の皮下脂肪組織内に存在する脂肪組織由来幹細胞の特性の検討では、1gの皮下脂肪組織あたりの脂肪組織由来幹細胞数がIBD患者4.2×104、非IBD患者0.8×104とIBD患者で有意に高く、CD45-CD31-CD34+細胞割合がIBD患者11.39%、非IBD患者3.1%とIBD患者で有意に高かった。

今後の研究の推進方策

「消化器外科手術に伴う難治性皮膚瘻対する自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた組織再生医療の臨床応用」(UMIN000007316)において、幹細胞治療を実施した炎症性腸疾患(IBD)患者6名の追跡の結果、瘻孔閉鎖率は4週、12週が83.3%(5/6例)、24週が100%(6/6例)であった。幹細胞治療実施後に実施するCT検査では、治療直後の瘻孔充填部位は確認可能であったが、経過中に瘻孔充填部位が不明瞭となる症例が大半であり、画像による組織再生評価は困難であった。一時的人工肛門が造設されていた5例中4例で人工肛門の閉鎖を実施した。臨床研究参加症例については、引き続きのIBD活動性と瘻孔閉鎖との関連についての検討を続ける。IBD患者と非IBD患者の皮下脂肪組織内に存在する脂肪組織由来幹細胞の特性の検討では、1gの皮下脂肪組織あたりの脂肪組織由来幹細胞数、CD45-CD31-CD34+細胞割合に有意差を認めた。
今年度の研究において明らかとなったIBD患者と非IBD患者の皮下脂肪組織内に存在する脂肪組織由来幹細胞の特性の違いは、IBD患者に対する幹細胞治療の推進において重要な因子となる可能性がある。脂肪組織由来幹細胞の特性の違いは、IBDによる全身への影響の結果として生じている,あるいはIBDの病因と関連して生じていることが考えられる。
今後は、IBD患者と非IBD患者の脂肪組織由来幹細胞の特性の違いが創傷治癒の促進や炎症のコントロールなど治療効果と関連するかについてin vitroあるいは炎症性腸疾患モデルマウスを使用した検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

幹細胞治療を実施した炎症性腸疾患(IBD)患者6名の追跡および臨床研究以外の手術症例(IBD患者、非IBD患者)から採取された皮下脂肪組織内に存在する脂肪組織由来幹細胞の特性についての検討を実施するための物品を購入したため。

次年度使用額の使用計画

IBD患者と非IBD患者の脂肪組織由来幹細胞の特性の違いが創傷治癒の促進や炎症のコントロールなど治療効果と関連するかについてin vitroあるいは炎症性腸疾患モデルマウスを使用した検討を行うための物品を購入するため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A clinical trial of autologous adipose‑derived regenerative cell transplantation for a postoperative enterocutaneous fistula2015

    • 著者名/発表者名
      Mizushima T
    • 雑誌名

      Surg Today

      巻: In press ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00595-015-1246-8

    • 査読あり
  • [学会発表] 術後難冶性皮膚瘻に対する自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞移植療法の臨床応用2015

    • 著者名/発表者名
      水島恒和
    • 学会等名
      第69回手術手技研究会
    • 発表場所
      高崎市
    • 年月日
      2015-05-16 – 2015-05-16

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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