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2014 年度 実施状況報告書

直腸癌術前化学放射線治療における肛門括約筋障害と肛門機能温存に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26462019
研究機関独立行政法人国立がん研究センター

研究代表者

西澤 祐吏  独立行政法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (50545001)

研究分担者 藤井 誠志  独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, ユニット長 (30314743)
中村 達雄  京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (70227908)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード神経障害 / 放射線治療 / 化学療法 / 脂肪肝細胞再生医療
研究実績の概要

本研究はラットの肛門括約筋を対象に、放射線と化学療法のそれぞれが肛門括約筋に与える障害を組織変成の程度を評価することで検討する。最終的に再生医療の手法を用いた、組織障害軽減モデルを作成することが目的である。
直腸癌の切除献体における括約筋近傍の組織障害に関しては、放射線化学療法後の組織で有意に強いことを報告してきた(Dis Colon & Rectum,54(11) 1423-1429, 2011)。今回新たに、27例の直腸癌術前値量として単独化学療法を施行した症例の組織に関して、評価を施行した。単独化学療法後の組織はほとんど変性所見を認めず、組織変性スコアにおいても手術単独症例と同等であることがわかった。
今後のラットにおける基礎研究で、放射線障害を中心とした組織障害を検討して、再生医療の導入を図り、組織障害の軽減に関する検討を進めていく上で、重要な知見となった。
また、再生医療に利用する脂肪肝細胞に関しては、臨床使用を念頭において、脂肪肝細胞の細胞シートを作成する研究を開始した。細胞シートは、細胞と培養皿を接着させていた細胞外マトリックスを豊富に有しているので、短時間で患部に生着し一体化する。そのため、単純に局所注入するよりも効率良く細胞が患部に保持され、高い治癒効果が期待できる。脂肪由来幹細胞シートを作製し、肛門括約筋近傍の組織障害を予防、組織再生させる放射線照射モデルに脂肪由来幹細胞シートを移植することで、放射線による肛門括約筋障害の予防を証明する研究を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実臨床における、組織障害の所見を、化学療法単独症例に関して再評価することが、基礎実験を確実に推し進める根拠となり得ると判断したことで、病理学的検討を進める時間が必要となった点で、当初計画よりやや遅れているが、大変重要な知見が得られたことから、本研究自体は有意義なものになっていると考えられる。また、再生医療導入に関する検討も、時代背景に応じて研究を進めていることで、研究成果としては有意義であると考えられる。

今後の研究の推進方策

今年度より放射線総合医学センターの先生に共同研究者として加わっていただくことになり、本研究の当初の計画に沿って、実験のスピードアップを図っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

初年度の研究に関して、臨床病理学的な検討を推し進めたため、動物実験にかかる予定であった金額が残額として発生した。

次年度使用額の使用計画

予定の動物実験を、共同研究者を新たに設けて進めていくことで、予定通りの研究内容に関する研究費使用を速度をあげて進めていく予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Anorectal autotransplantation in a canine model: the first successful report in the short term with the non-laparotomy approach.2014

    • 著者名/発表者名
      Nishizawa Y, Araki J, Nakamura T, Sato T, Naito M他
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 10 ページ: 10;4:6312

    • DOI

      10;4:6312

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Long-term outcomes after intersphincteric resection for low-lying rectal cancer2014

    • 著者名/発表者名
      Saito N, Ito M, Kobayashi A, Nishizawa Y他
    • 雑誌名

      Ann Surg Oncol

      巻: 21 ページ: 3608-3615

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effectiveness of a Transanal Tube for the Prevention of Anastomotic Leakage after Rectal Cancer Surgery2014

    • 著者名/発表者名
      Nishigori H, Ito M, Nishizawa Y
    • 雑誌名

      World J Surg

      巻: 38 ページ: 1843-1851

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical Impact of Elastic Laminal Invasion in Colon Cancer: Elastic Laminal Invasion-Positive Stage II Colon Cancer Is a High-Risk Equivalent to Stage III2014

    • 著者名/発表者名
      Yokota M, Kojima M, Nomura S, Nishizawa Y
    • 雑誌名

      Dis Colon & Rectum

      巻: 57 ページ: 830-838

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 第21回指定研究賞 肛門機能の再生・再建を目指した基礎研究の成果2014

    • 著者名/発表者名
      西澤祐吏
    • 雑誌名

      手術

      巻: 68 ページ: 870-874

  • [学会発表] 解剖学特性とエネルギーデバイスの熱拡散に配慮した腹腔鏡下直腸癌手術の定型化2014

    • 著者名/発表者名
      西澤祐吏、齋藤典男、伊藤雅昭他
    • 学会等名
      第76回日本臨床外科学会
    • 発表場所
      郡山
    • 年月日
      2014-11-20 – 2014-11-21
  • [学会発表] 機能温存に配慮した腹腔鏡下直腸癌手術ー神経解剖とエネルギーデバイスにおける熱拡散の知見からー2014

    • 著者名/発表者名
      西澤祐吏、齋藤典男、伊藤雅昭他
    • 学会等名
      第69回日本大腸肛門病学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-07 – 2014-11-08
  • [学会発表] 機能温存に配慮した腹腔鏡下ISRの手術手技2014

    • 著者名/発表者名
      西澤祐吏、齋藤典男、伊藤雅昭他
    • 学会等名
      第27回日本内視鏡外科学会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      2014-10-02 – 2014-10-04
  • [学会発表] 肛門機能における陰部神経の役割-陰部神経切離・吻合モデルの検討-2014

    • 著者名/発表者名
      西澤祐吏、齋藤典男、伊藤雅昭、中村達雄他
    • 学会等名
      第20回大腸肛門機能障害研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-09-08
  • [学会発表] 肛門機能の再生・再建を目的とした再生・移植医療2014

    • 著者名/発表者名
      西澤祐吏、齋藤典男、伊藤雅昭、中村達雄他
    • 学会等名
      第69回日本消化器外科学会総会
    • 発表場所
      郡山
    • 年月日
      2014-07-16 – 2014-07-18
  • [図書] 腹腔鏡下S状結腸切除術徹底レクチャー2015

    • 著者名/発表者名
      伊藤雅昭 西澤祐吏他
    • 総ページ数
      143
    • 出版者
      金原出版
  • [図書] 皮膚の悪性腫瘍-実践に役立つ再診の診断・治療-2014

    • 著者名/発表者名
      西澤祐吏 齋藤典男他
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      医学書院

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公開日: 2016-05-27  

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