研究課題/領域番号 |
26462019
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
西澤 祐吏 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (50545001)
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研究分担者 |
藤井 誠志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (30314743)
中村 達雄 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (70227908)
道川 祐市 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 緊急被ばく医療研究センター, 主任研究員 (20360688)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線障害 / 直腸癌治療 / 組織障害 / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
マウスの括約筋における組織障害は局所照射の10Gyから変性所見を認めることがわかり、14Gyを超えた照射になると、個体の死亡に繋がる重篤な障害が出てくることが明らかになった。また、再生医療の方法を用いて、治療による組織障害を軽減させるための治療モデルを作成する研究では、脂肪幹細胞と骨髄系幹細胞を用いたモデルを検討し、どちらのモデルにおいても、幹細胞投与による有害事象は無かったが、組織変性の改善は有意差をもって示すことはできなかった。 今までの研究における知見から、個体死となる14Gy以上を照射したモデルにおいては、肛門局所の障害のみならず、小腸障害が高度に起こっていることがわかった。また、肛門局所の組織所見では、肛門周辺部位の細菌感染巣をすべての個体で認めていた。追加で施行した実験において、マウスに放射線照射後、抗菌剤を投与するモデルを検討したが、中央値で3日の生存期間の延長を認めることがわかった。 このことより、肛門周囲の感染と小腸障害の間に因果関係があり、この感染をコントロールする事で、個体の全身状態が改善できることが想定される。つまり、局所的な障害およびその治癒が腸管の微生物叢に影響を与えており、これが宿主の全身状態へ影響を与えている可能性がある。 放射線治療前後においても、腸内細菌叢の変化が宿主の全身状態・免疫状態と関わりをもって、組織障害の程度、回復の状態や、治療予後に至るまで、関与している可能性がある。 放射線局所照射マウスにおいて、腸内細菌叢の変化を解析し、肛門局所の組織障害の所見と小腸の絨毛障害の所見、また個体の生存期間や体重変化を含めた全身状態を包括的に解析することで、微生物叢の変化が治療や全身状態に与える影響を明らかにする事ができる可能性がある。
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