研究課題/領域番号 |
26462024
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
田代 浄 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40601258)
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研究分担者 |
三谷 幸之介 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10270901)
山口 茂樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30254220)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腸管アデノウイルス / ファイバー改変型ベクター / 大腸癌 / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
Ad5、Ad65、Ad67の各ウイルスについて、A549細胞における力価を100とした場合のHT29、SW480、HDFにおける相対的な力価は、Ad5ではそれぞれ63(HT29)、0.0008(SW480)、1.0(HDF)であり、大腸癌細胞株HT29やSW480に対してA549よりも低い感染効率を示した。その一方でAd65では、A549での力価を100とした時の他の細胞での力価は、それぞれ 810(HT29)、6.3(SW480)、4.9(HDF)となった。同様にAd67では、3100(HT29)、61(SW480)、10(HDF)であり、Ad65とAd67ともに、A549細胞よりもHT29細胞に対して一桁以上高い感染効率を示した。また、すべての血清型においてSW480細胞での力価はA549よりも低かったが、Ad5のSW480細胞における力価に比べると、Ad65とAd67は相対的に数桁高い力価を示した。これらの結果は、Ad65、Ad67が、より選択的に大腸癌由来の細胞に感染することを示唆している。この結果が、Ad65、Ad67の大腸癌細胞への吸着・侵入の効率の高さを示すのか、もしくは複製の効率が高いのかを正確に区別することは難しい。細胞への吸着・侵入の効率をより直接的に解析するために、5型由来E1欠損型アデノウイルスベクターAd5-CMV-EGFPのfiber shaft/knob部分のみをAd65のものに置換したAd5/65-CMV-EGFPとAd5/61-CMV-EGFPの2種の新規ベクターを作製した。各種消化器癌細胞株に対しFACSを用いCELLentry効率を比較した。Ad5/65の感染効率のパターンはAd5に類似していた。Ad65についてファイバー改変型ベクターを用いてattachment receptorを解析したところ、主にCARとシアル酸を用いることが明らかとなった。受容体レベルでの特異性だけではAd65の腸管tropismは説明出来ない。腸内環境での安定性や細胞内での複製効率が腸管tropismを規定しているかを、今後解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規消化管アデノウイルスを用いたベクターを作製し、消化器癌への感染細胞殺傷効果を多方向から検証実験している。新規消化管アデノウイルス各血清型(Ad61、Ad65、Ad67)のsiRNAを用いたレセプター同定は、特異性に乏しい結果となった。よって腸管への親和性を環境因子(抗酸性)の検証を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
大腸正常上皮と大腸癌組織における感染性の比較、受容体実験。癌幹細胞様細胞の委託を受け新規消化管アデノウイルスベクターの動物実験(マウス)を予定する。またアデノウイルス9型(腸管)を入手し、細胞殺傷能力の比較を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への出席を控えた為。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会出席と、英文構成に要する見込みである。
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