研究課題
本研究は改良型テロメスキャンを用い、大腸がん血中循環癌細胞(CTC)の単離・機能解析と臨床応用を目指すものである。CTCは米国(FDA)で臨床試験が行われているが,先行開発されたCellSearch System(CSS)は抗体の設定を自由にできず,捕捉率も約30%と悪いため,大腸がんの臨床応用に不向きである.これは,細胞表面抗原を認識する抗体を用いたCTC検出法に効率面での問題があるためである.一方,本邦で開発されたテロメスキャンは,癌で高発現しているテロメラーゼを指標として癌を捕捉する手法である.申請者らはこのテロメスキャン法に着目,さらに改良を加えた改良型テロメスキャン法により,精度の高いCTC測定法の構築を進めてきた.H28年度は大腸がん患者より採取した血液を用い,大腸癌の治療前後のCTCの変化を追跡した。その結果改良型テロメスキャン法を用いた場合には,従来法よりも術前採血からのCTC検出率が高いことが示された.また手術後には術前よりもCTC数が減少することが確認された.テロメスキャン法では大腸がんにおいて精度の高いCTC測定が可能であることが明らかになった.この成果は大腸がんの早期発見や,大腸がん診断の簡便化,信頼性向上の観点から有意義であるとともに,日本の知的財産の活用という側面でも貴重である.
2: おおむね順調に進展している
テロメラーゼを指標とした改良型テロメスキャンにより高感度なCTC検出を可能とし,大腸癌の症例ごとの治療前後のCTCの変化を追跡した。その結果、手術後にCTC数の減少を示した事が明らかとなった.一方,CTCの観察に必要な蛍光実体顕微鏡などに問題が生じ調整が必要となったことから,一部の計画に遅延が生じた.
画像撮影・解析システムを調整し,大腸がんCTCと治療効果の評価,臨床情報との関連性,大腸癌CTCの単離・機能解析を進めていく.
本研究では、テロメスキャン法により捕捉したCTCを 独自の検出システムを用いて観察しているが これらを実施するために必要な蛍光ユニット,画像撮影・解析システムの蛍光実体顕微鏡に問題が生じており、設定の変更、調整を現在行っている.これに伴いH28年度に予定した資材・試薬類の調達の一部を行わなかったため次年度使用額が生じた。
本研究では、テロメスキャン法により捕捉したCTCを 独自の検出システムを用いて観察に必要な蛍光ユニット,画像撮影・解析システムの調整のほか,分析に用いる資材・試薬類の購入などに用いる.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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