• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

cell free DNAを用いたEGFR阻害剤耐性獲得機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 26462030
研究機関日本医科大学

研究代表者

山田 岳史  日本医科大学, 医学部, 講師 (50307948)

研究分担者 小泉 岐博  日本医科大学, 医学部, 助教 (40328802)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードcell free DNA / circulating DNA / 抗EGFR抗体 / 2次耐性
研究実績の概要

本研究の目的は末梢血中を循環するcfDNAを用いて大腸癌治療における抗EGFR抗体治療の2次耐性獲得の機序を解明することである。治療開始前より継続的にcfDNAの質的、量的変化を解析する。我々は、『抗EGFR抗体により阻害されるEGFがトリガーとなる増殖シグナルの経路であるKRAS、NRAS、BRAF、PIK3CAあるいはEGFRそのものに変異が生じることにより抗EGFR抗体に対する2次耐性が形成される。また、cfDNA量は腫瘍の増大に伴い増加し、腫瘍の縮小により減少する。腫瘍増大時にはcfDNA量が増加するだけでなく変異アレル数も増加する』との仮説をたてた。
cfDNA量は仮説どおりに腫瘍の増大あるいは縮小に伴い増減し、この変化はCT等の画像上の変化あるいはCEAなどの腫瘍マーカーの変化が同定される前におこることがわかった。さらにこのcfDNA量の変化は原発巣切除あるいは肝転移巣切除によっても生じることが解明された。
抗EGFR抗体に対する2次耐性を獲得した患者で、臨床的に耐性を獲得する以前にcfDNAにてKRAS変異が同定されるようになる患者がいることがわかった。この変異は1%以下という極めて低位頻度の変異として認められるため、cfDNAによる解析では低頻度変異を検出可能な高感度系が必要である。どのような患者からどのようなタイミングでKRAS変異が同定されるようになるかは未だ不明である。
これまでにBRAFの変異が認められるようになった症例はなく、またNRAS、PIK3CA、EGFRについては適切な検出方法の条件設定を行っているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究に必要な臨床サンプルはほぼ順調に集積できている。当初の仮説どおり、新規のKRAS変異は同定することができ、これが抗EGFR抗体に対する2次耐性獲得に関わっている可能性が示唆された。これについては国内および国際学会で発表を行ない、現在論文執筆中であり投稿間近である。
BRAFは0.01%の変異を検出する我々独自の検出系を確立している。しかし、これまでにBRAF変異を認めた症例はいない。抗EGFR抗体投与によりBRAF変異が生じるかどうかを明らかにするためには症例を更に集積する必要があると考えている。
NRAS、PIK3CAについては適切な検出法を確立できていない。次世代シーケンサー(NGS)についても同様である。特にNGSについては我々が独自に開発したInvader Plus法やデジタルPCRで検出できる1%以下の変異が検出できない。NRAS、BRAF、PIK3CA、EGFR以外の変異もKRASと同様に低頻度の変異をおこしている可能性があるため、cfDNAの採取法、シーケンスの条件の変更あるいは使用機種の変更も含め柔軟な対応が必要である。

今後の研究の推進方策

今後検討すべき点としては以下の項目が挙げられる。(1)本来KRAS野生型でありながら抗EGFR抗体を投与することによりcfDNAが検出されるようになる患者の頻度、および検出されるようになるまでの時間を検討する。(2)NRAS、BRAF、PIK3CAについてもKRASのように新規の変異が起こりうるか検討する。(3)次世代シーケンサーを用い、NRAS、BRAF、PIK3CA以外にも新たな変異が生じていないか検討する。
2,3については前述の如く検出法が十分に確立できていない。しかし本年度の情報収集活動の結果、この状況を打開できる可能性のある方法をいくつか見いだしており、次年度にはこれらの方法に取り組む。
Cetuximabの3次治療の効果を検証する多施設共同研究の付随研究としてcfDNAを収集し、本研究に利用する予定であったが、この研究では症例集積が予定より遅れている。これに対する対策として別の組織で抗EGFR抗体の1次治療の効果を検証する臨床試験を立ち上げ、サンプル収集に努めている。サンプル収集の速度が鈍るようであれば更なる他施設協同研究の計画も視野にいれる必要がある。
研究開始前の予測では変異型KRASの野生型KRASに対する比率は1-5%程度と予測していたが、実際には約40%が1%以下である。現在0.1%程度の変異を検出する系を使用しているが、0.01%でも検出できる系の確立をめざしている。

次年度使用額が生じた理由

次世代シーケンサーの最適条件が確立できずに試行錯誤中である。そのため次世代シーケンサー用の消耗品の消費量が予定より少なかった。

次年度使用額の使用計画

次世代シーケンサーの最適条件が設定でき次第、消耗品を追加購入し、解析を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] Real time personalized therapy for colorectal cancer by using liquid biopsy2014

    • 著者名/発表者名
      Yamada T, Kan H, Matsumoto S, Koizumi M, Shinji S, Matsuda A, Yamagishi A, Yokoyama Y, Iwai T, Uchida E
    • 学会等名
      第25回日本消化器癌発生学会総会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-11-13 – 2014-11-14
  • [学会発表] Prediction for efficacy and resistance of EGFR blockade by using liquid biopsy2014

    • 著者名/発表者名
      Yamada T, Kan H, Uchida E
    • 学会等名
      Japan Digestive Disease Week 2014
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2014-10-23 – 2014-10-23
  • [学会発表] Liquid biopsy detection of KRAS and BRAF mutations may be useful as a prognostic or predictive marker2014

    • 著者名/発表者名
      T.Yamada
    • 学会等名
      European society for medical oncology 40
    • 発表場所
      Madrid
    • 年月日
      2014-09-26 – 2014-09-30
  • [学会発表] An Ultrasensitive Molecular Diagnostic Method for Blood Biopsy in Personalized Treatment of Colorectal Cancer2014

    • 著者名/発表者名
      S. Kitano, T. Yamada
    • 学会等名
      European society for medical oncology 40
    • 発表場所
      Madrid
    • 年月日
      2014-09-26 – 2014-09-30
  • [学会発表] 大腸癌分子治療におけるliquid biopsyを利用したreal-time personalized therapy2014

    • 著者名/発表者名
      山田岳史
    • 学会等名
      第69回日本消化器外科学会
    • 発表場所
      郡山
    • 年月日
      2014-07-16 – 2014-07-18

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi