研究課題/領域番号 |
26462030
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
山田 岳史 日本医科大学, 医学部, 講師 (50307948)
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研究分担者 |
小泉 岐博 日本医科大学, 医学部, 助教 (40328802)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | KRAS / 薬剤耐性 / 大腸癌 / 抗EGFR抗体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は循環DNAを用いて大腸癌患者における抗EGFR抗体への耐性獲得メカニズムを明らかにすることである。 抗EGFR抗体を投与する患者に化学療法開始前、開始後は2-3ヵ月ごとに採血し、循環DNAを抽出した。デジタルPCRを用いて循環DNAのKRAS変異を解析した。 これまでにわかったことは、転移巣を有するKRAS変異型大腸癌の90%で循環DNAが検出できる、KRAS野生型の10%で循環DNAで変異型KRAS変異型が同定され、これらの症例に抗EGFR抗体を投与しても奏効しない、原発巣、循環DNAともにKRAS野生型の90%で抗EGFR抗体が奏効するが、約1年で耐性化し、耐性化症例の50%では循環DNAでKRAS変異が同定される、等である。これまでの成果を国内および海外学会で発表し、Cancer Scienceに投稿し、acceptされた。 当初は耐性化症例の6-7割の循環DNAから変異型KRASが同定できると考えていたが、意外に低く、その他の耐性化の原因を調べる必要がある。現在、KRAS以外の変異をデジタルPCRと次世代シーケンサーを用いて検索しており、今後HERE2の増幅を検査する予定である。この研究過程で変異だけではなく循環DNAの量や質が新たなバイオマーカーとなる可能性が示されたため、これらが抗EGFR抗体に対する耐性化に係わるかどうかについても検討中である。circulating tumor cellも利用する予定であったが、効率よく採取できていない。新たに開発された機器を6月から使用できるため、これを用いてCTCを解析することでよい結果が得られることを期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は循環DNAを用いて抗EGFR抗体に対する耐性化メカニズムを解明することである。耐性化症例の50%では治療中にKRASが変異することがわかり、治療中のKRASが消失変異は抗EGFR抗体の耐性化に大きく関与する必要があることがわかった。一方で残りの50%における耐性化メカニズムについては不明であり、今後明らかにする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き抗EGFR抗体治療に耐性化した症例を集積し、循環DNAサンプルを採取する。抗EGFR抗体に耐性化してもKRAS変異をきたさなかった50%の症例ではBRAF変異、PIK3CAの変異、HER2の増幅等が原因として関与すると考えており、これらについては今後明らかにする必要がある。また未知の要因については次世代シーケンサーを用いた解析により解明していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に若干の遅れがあり、購入予定の試薬を購入していない。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度購入し実験予定である。
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