研究実績の概要 |
われわれが既に独自に開発済みの新肝切除エミュレータソフトは、肝臓を牽引・変形して肝切離面を展開する様子をリアルタイムに表現することができ,切離線、切離面に出現してくる亜区域枝の方向, 深さ, タイミングをリアルタイムに体感することが可能である。本研究では、筑波大学システム情報系知能機能工学域の研究室が行っている力覚提示装置を共同で統合を行った。システムの構築については、バルーンを複数個に拡張する機構の製作を行った。バルーン3つ分で構成したシステムの提示性能の検証を行った。バルーンで肝臓の硬さを表現することは可能であった。今後は肝硬変の程度によりバルーンの圧により可変させ適応させていく課題が残った。肝臓モックアップの現在の水平方向の動きに加えて回転方向の自由度を追加することを可能にした。モックアップの損傷の防止が達成された。 本エミュレータシステムによる術前肝切除リハーサルの有用性をアンケート調査により評価した。対象は筑波大学の医学生4~6年生。アンケート調査の内容は、1. 肝臓展開時、肝臓切離面や血管を見やすくするために左手で肝臓を開き続けることが重要だと理解できたか。2. 肝臓展開時、血管が次々と現れることを認識できたか。3. 現れた血管の種類が分かったか。4. CUSA使用時、肝臓から目を離さずにフットスイッチの操作を行えたか。5. CUSA使用時、CUSAの振動を体感することができたか。6. 今後もこの装置で肝臓手術を体験したいと思うかなどであり、質問3を除く質問の点数は5年満点で4点を超えていた。質問3は3点と低かったが知識不足が原因と考えられた。
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