研究課題/領域番号 |
26462036
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
久保木 知 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50571410)
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研究分担者 |
宮崎 勝 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70166156)
清水 宏明 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80272318)
酒井 望 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70436385)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Pin1 / 腫瘍細胞増殖 / 腫瘍細胞浸潤 / EMT |
研究実績の概要 |
肝細胞癌において、Pin1を介したNF-kappaB活性亢進はcell cycle亢進、血管新生促進、腫瘍浸潤能増強を介して腫瘍悪性度を高めた。その結果、肝細胞癌患者におけるPin1高発現は、根治的肝切除術後の独立した予後不良因子であった。また、in vitroにてPin1 inhibitorであるJugloneは腫瘍増殖を抑制し、腫瘍浸潤を低下させた。この結果をBritish Journal of Cancerに報告した。また、animal modelにて、マウスに肝細胞癌細胞を皮下移植したのちにJugloneで治療すると、腫瘍増殖が抑制されることが分かった。 さらには浸潤性膵管癌において、Pin1発現増強はNF-kappaB活性亢進およびSTAT3活性亢進を介して腫瘍増殖能を増強させるとともにEMTを亢進・維持させることにより腫瘍浸潤能を増強させ、腫瘍悪性度を高めることが分かった。浸潤性膵管癌患者においても、Pin1高発現は、根治的手術後の独立した予後不良因子であった。また浸潤性膵管癌でも、in vitroにて、Pin1 inhibitorであるJuglone投与はEMT関連因子の発現を抑制し、腫瘍浸潤能を減弱させた。 現在、胆道癌である胆嚢癌におけるPin1発現の意義に関する検討を開始しているが、胆嚢癌でもPin1発現は腫瘍浸潤能増強を介して腫瘍悪性度を高め、独立した予後不良因子であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、肝癌、膵癌、胆道癌、それぞれについてPin1による転写因子活性増強を介した腫瘍進展促進機序の解明を進めており、すべての癌腫で良好な結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
胆嚢癌についてもPin1を介した腫瘍進展機序の詳細を明らかにする。 また、肝細胞癌、浸潤性膵管癌、胆嚢癌それぞれについて、マウスモデルを用いてPin1 inhibitorであるjugloneの治療効果について評価し、Pin1を標的とした分子標的治療の開発を目指す。
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