研究実績の概要 |
実施した研究の内容は以下である。vivo実験: マウスindocyanine green(ICG)投与下近赤外光レーザー照射モデルを作成した。具体的にはHuH-7ヒト肝細胞癌細胞をマウスに皮下移植後、ICGを静注し24h後、HuH-7細胞に照射し照射中の腫瘍温度をサーモグラフィーで測定した。照射後の腫瘍組織切片の活性酸素(ROS)を測定し、TUNEL染色を行った。vitro実験: HuH-7細胞培地にICGを添加し照射した。72h後にMTT assay行い84h後に細胞生存率を測定した。また、ICGの濃度ごとに、保温シートまたは保冷シート上で照射し細胞生存率を評価した。成果は以下である。vivo実験: HuH-7腫瘍にICGが選択的に取り込まれることが確認された。照射部位の温度上昇を認めた。細胞死にROSおよびアポトーシスの関与が示唆された。vitro実験: HuH-7細胞内にICGの蛍光が観察された。照射により細胞生存率は低下した。ICG濃度、照射回数に正の相関関係を認めた。また、保温シート上では細胞生存率が低下したが、保冷シート上では上昇した。本実験の意義は、本研究チームが2014年に初めて報告したヒト肝細胞癌に対する光線力学的治療(PDT)の機序を明らかにするもので意義深いと考える。ヒト肝細胞癌に対するPDTの報告はなく、本報告は肝細胞癌に対する新規治療法となる可能性があり重要性が高い。本研究の成果について、ILCA 2015, International Liver Cancer Association 9th Annual Conference, September 2015,Paris, Franceで発表予定である。
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