研究課題
マウスモデルで、光感受性物質ICGが特異的に高分化肝細胞癌株HuH-7腫瘍に集積することを発見し、近赤外光レーザー照射により本固形腫瘍において抗腫瘍効果を認めた。ヒト肝細胞癌細胞HuH-7や大腸癌細胞HCT-116をBALB/cヌードマウスの脾臓へ移植して肝転移巣を形成させたマウスに対してICGを静注し、肝転移巣のICG蛍光像を観察し、HuH-7由来の転移巣では腫瘍組織に強い蛍光がみられた。HCT-116由来の転移巣は、蛍光カメラで腫瘍組織の蛍光が確認された。蛍光顕微鏡では、腫瘍組織周囲の非癌部組織がリング状に蛍光がみられた。マウスICG蛍光肝細胞癌光線力学療法モデルで腫瘍増大が抑制されるしくみを探るために、肝細胞癌細胞HuH-7細胞を用いたin vitro解析系を構築した。高分化肝細胞癌株HuH-7細胞死の誘導のメカニズムの解明で酸化ストレスの誘導が見られること、免染によるDNA酸化損傷の検出、ICG濃度依存的な近赤外光による細胞死の証明、熱抑圧の効果から見た細胞死の誘導のメカニズムの解明、近赤外光照射回数による抗腫瘍効果の増強の証明、TUNEL染色により近赤外光照射によりアポトーシスが誘導されていることがわかった。HuH-7細胞培養チューブ内のICG含有培地に対して近赤外光レーザーを照射したところICG濃度依存的に熱が発生した。さらに、ICG含有培地で培養し、近赤外光レーザーを照射した場合、非照射に比べてHuH-7細胞増殖が抑制された。また、マウス肝細胞がん皮下モデルでも近赤外光レーザー照射を行ったところ、腫瘍全体の温度が上昇することが確認された。また、近赤外光レーザー照射装置の開発も行い、よりICGの最大光吸収波長により近い波長805nm、出力200mWでより強化された抗腫瘍効果を確認した。
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