研究課題/領域番号 |
26462041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植村 忠廣 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (90719949)
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研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
藤本 康弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80335281)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心停止ドナー |
研究実績の概要 |
臓器移植におけるドナー不足は深刻な問題であり、心停止後ドナーは解決策の一つとして注目されている。しかし、心停止後ドナー肝移植の成績は通常の脳死肝移植と比べて劣っており、改善策が望まれる。心停止後ドナー肝移植では 脳死肝移植にはない長期間の低酸素状態が主なグラフト機能不全の原因と考えられている。そこで、血漿の100倍以上の酸素溶解度があるPerfluorocarbon (PFC)をラットの肝臓グラフト保存液に用い 酸素状態を改善させることで、ラット心停止後ドナー肝移植の成績が向上するかどうか検討している。
まずはラット心停止ドナーのモデル作成に取り組んだ。心停止に至る過程、方法を検討し、ラットに最も負担のかからない方法を採用した。心停止からドナー肝臓を取り出す時間は、実際の臨床現場のことも考慮し、30分とした。一方、レシピエントの移植手技にも取り組んだ。ラット肝移植では顕微鏡を使い技術的な面についても克服し、かなり安定してきている。現在は、ラット心停止モデルの作成が完了し、生存可能な心停止後ドナー肝の保存時間を検討中である。今回、検討する新世代の Perfluorolocarbon (PFC)を米国より入手し、現在、コントロール群とPFC群で早期の虚血、再還流の障害、回復程度を比較検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット肝移植手技と成績が安定するのに、時間を要した。また、今回の研究で検討する Perfluorolocarbon の入手に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
ラット心停止後ドナー肝移植モデルで、Perfluorolocarbon (PFC)群とコントロール群で虚血再還流障害、胆管系合併症、生存率を調べる。虚血再還流障害の検討では、ドナー肝臓の保存時間を短めに設定し、ラット肝移植モデルを用い、血液生化学データ、病理組織検査にて比較検討する予定である。Perfluorolocarbon (PFC)群がコントロール群に比べて、肝障害の程度が軽度であることを予想している。
胆管合併症に関しては、ラット肝移植モデルを中;長期間生存させて、PFC群とコントロール群で胆管の状態を比較検討する。血液生化学データ(特に胆道関連酵素)、病理組織検査、電子顕微鏡検査も含め検討する予定である。胆管合併症についてもPFC群がコントロール群に比べて、障害程度が軽度であることを予想している。
生存率の検討では、ラット心停止後ドナー肝臓の保存時間を延長する必要があるのではと考えている。最適な保存時間を検討したい。PFC群がコントロール群に比べて長期に生存することを予想している。
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