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2015 年度 実施状況報告書

肝内胆管癌におけるCDH3の発現とRho familyとの関連

研究課題

研究課題/領域番号 26462045
研究機関熊本大学

研究代表者

堀野 敬  熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (60452900)

研究分担者 今井 克憲  熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60555746)
別府 透  熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (70301372)
林 洋光  熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80625773)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードCDH3 / methylation / invasion / migration / rho family
研究実績の概要

前年度までに、肝内胆管癌・膵癌においてP-cadherin (CDH3)の発現が予後との関連があり、浸潤能や遊走能との関連があることを示した。
本年度は肝内胆管癌・膵癌におけるP-cadherinの発現とプロモーター領域のメチル化との関連について、メチル化特異的PCRを用いて検討した。癌細胞株では、P-cadherin高発現株ではそのプロモーター領域は脱メチル化されているのに対し、低発現株ではメチル化されていた。P-cadherin低発現株において、脱メチル化剤である5-Azaを添加したところ、プロモーター領域の脱メチル化に伴ってP-cadherinの発現増加を認めた。さらに切除症例の新鮮凍結標本の癌部からDNAを抽出し、P-cadherinの発現とプロモーター領域のメチル化との関連を検討した。肝内胆管癌20症例 (P-cadherin高発現・低発現症例ともに10症例ずつ)において、高発現群では10症例中4症例のみにメチル化を認めたのに対し、低発現群では10症例全てにメチル化を認めた。膵癌においては、27症例 (P-cadherin高発現13症例、低発現14症例)を用い、高発現群13症例中4症例のみにメチル化を認めたのに対し、低発現群では14症例中12症例にメチル化を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Rac1・Cdc42などRho familyの活性化における指標として、Western blot法による確認を試みたが、これらの活性型低分子量G蛋白を検出するには特殊 (高価)なキットを要し、思うような結果が得られず、こちらの面では滞っている。

今後の研究の推進方策

今回、肝内胆管癌と膵癌において同様の現象を認める傾向にあった。今後は、癌の進展と関わる因子を考察していく予定である。前回、供述したようにEMT関連因子や幹細胞マーカーに関しては関連の可能性が低いことが分かった。Rho familyに関しても再検討項目の一つではあるが、癌の進展と関連があるAkt/Ark signalやSmadに関しても検討していきたい。
CpG islandのプロモーター領域におけるDNAのメチル化は、癌遺伝子の発現制御機能として知られている。P-cadherinの発現においても、乳癌や大腸癌、胃癌において、その発現がDNAのメチル化異常と関与していることが報告されている。特に大腸癌においては、正常組織ではプロモーター領域のメチル化によりP-cadherinの発現が抑制されているのに対し、癌部に近接した正常粘膜では所々で脱メチル化を認めるようになり、癌進展の過程においてDNAのメチル化が関与していることが示唆される。今回、肝内胆管癌と膵癌の細胞株において、P-cadherinの発現はDNAのプロモーター領域の脱メチル化と関連しており、また5-Aza処理により脱メチル化を惹起すると、P-cadherinの発現が誘導された。さらに、実際の切除標本での検討でも、P-cadherinの発現と、プロモーター領域の脱メチル化は有意に相関していた。以上より、プロモーター領域におけるDNAのメチル化が、P-cadherinの発現を制御されている機序の1つであることが示された。メチル化異常を含むエピジェネティックな変化は可逆的な反応であり、難治癌の治療のターゲットとして非常に有用であると思われる。さらには、胃癌や乳癌などでいわれているプロモーター領域のメチル化とCDH3の発現が、これらの癌種においても関連があるかを検討していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

医局内保管の消耗品を使用できたため。また、Western blot法による確認が思うように進まず、当初計画していた実験が出来なかったため。

次年度使用額の使用計画

次年度は癌の進展と関わる因子を考察していく予定である。さらには、胃癌や乳癌などでいわれているプロモーター領域のメチル化とCDH3の発現が、これらの癌種においても関連があるかを検討していく予定であり、高価なキットを購入する必要がある。研究費はそれらの購入費及びデータ管理、資料作成等にかかる人件費に充てたいと考える。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Significance of P-cadherin overexpression and possible mechanism of its regulation in intrahepatic cholangiocarcinoma and pancreatic cancer.2015

    • 著者名/発表者名
      1.Keita Sakamoto, Katsunori Imai, Takaaki Higashi, Katunobu Taki, Shigeki Nakagawa, Hirohisa Okabe, Hidetoshi Nitta, Hiromitsu Hayashi, Akira Chikamoto, Takatoshi Ishiko, Toru Beppu and Hideo Baba.
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 106(9) ページ: 1153-62

    • DOI

      10.1111/cas.12732.

    • 査読あり

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公開日: 2017-01-06  

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