研究課題/領域番号 |
26462047
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高森 啓史 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (90363514)
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研究分担者 |
岡部 弘尚 熊本大学, 医学部附属病院, 診療助手 (40573621)
別府 透 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70301372)
林 洋光 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (80625773)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Farnesoid受容体X / 肝再生 / 胆汁酸 |
研究実績の概要 |
マウス実験に関しては、70% 肝切除モデルの確立を行っている。当初死亡率が高く、腹腔内出血や麻酔に伴う呼吸抑制死亡が見られたため、手技の安定化に努めている。また血中胆汁酸の濃度を調べるため、肝切除前および術後採血を行うトレーニングも行っており、手技の安定化が得られてきた。Obeticholic acidを投与する実験準備は整ってきている。このように、肝再生が促進されても促進されなくても、FXR agonistで肝再生がどのように影響されるのかを確実にpublishできるような詳細なデータ採取の準備をすすめている。並行してヒトサンプル解析を行っている。まず、FXR抗体のうち、免疫染色でワークする抗体を探し、染色条件設定が終了した。ヒトサンプルのデータに関しては前向きに収集しているため、術後再生肝volumeデータを収集中である。術前肝切除率については、術前必須項目であり、これはすべての症例ですでにデータ蓄積されている。これらの症例のうち、切除率の均一な集団内での解析ができるよう右肝切除症例をピックアップし、術後の肝volumeを測定し、数を増やして検証中である。多変量解析を行う必要があり、左右肝切除症例100例程度を目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス解析はまだFXR agonist投与まで至っていないものの、肝切除の手技は安定化してきたため、これから統計学的にばらつきの少ないデータが得られると確信している。ヒトサンプル解析に関しては、2000年以降左右肝切除を施行した100例を対象に、背景肝のFXRの核内発現と血中胆汁酸濃度を対比する。FXR抗体を用いて、免疫染色の条件を決定した。現在症例を増やして検証中である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床データはプロスペクティブに集積されており、肝再生についても術前の切除肝volumeは蓄積されている。術後7日目の肝volume情報について解析が未施行の最近の症例についてvolumetryで解析を行っており、2000年以降左右肝切除を施行した約100例を対象に、肝再生に関する臨床データを現在直近の症例までbrush up中である。このデータを土台として、慢性肝炎・肝硬変といった障害肝の症例で胆汁酸が術前高い症例は、FXRの活性化レベルが他の集団よりもともと高いのか、また、このような症例は肝再生が促進されないのか、これを免疫組織学的に証明するために、現在免疫染色の条件が得られ、症例を増やしており、十分な症例数を確保できたら統計学的に解析する。動物実験については、肝切除・採血といった基本的な手技の安定化が得られてきたため、実際薬剤投与し、FXR agonistであるobeticholic acid(OCR)の有効性を検証する。結果がNegativeであれば、マウスの数を増やして検証し、免疫組織学的な解析に加え、血液検査値の検証など詳細なデータも合わせて差がないことを確かなものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定より安価で試薬・消耗品費の購入が可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度得られたデータを土台として、免疫染色の条件を設定、十分な症例数が確保でき次第、統計学的に解析する予定である。また、動物実験において、実際薬剤投与し、FXR agonistであるobeticholic acid(OCR)の有効性を検証する。そのため、研究費は免疫染色や動物実験など各実験に係る試薬消耗品及び実験動物購入・維持費に使用する予定である。
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