研究実績の概要 |
ヒト肝内胆管癌組織におけるHemidesmosome構成蛋白の免疫染色を行った。Hemidesmosome 関連蛋白のうちPlectin, Integrin alpha6, Integrin beta4, Integrin beta1, Bp180, CD151の発現を癌細胞に認め、これらに結合する細胞外マトリックスとしてlaminin, Collagen Type IV の発現を間質で認めた。培養肝内胆管癌細胞(RBE, SSP-25, HuccT-1)においても上記すべてのHemidesmosome 関連蛋白発現をwestern Blotにて確認し、これらの遺伝子発現をSiRNA transfectionにて抑制したところ、Integrin beta1のみ増殖抑制を認めた。また、FAKリン酸化阻害剤においても同様の増殖抑制を認めたことから、Integrin beta1-FAKを介する増殖シグナルが肝内胆管癌増殖にかかわっていると考えられた。 また、Plectin, Integrin beta1, CD151に関しては癌関連線維芽細胞(CAFs)にもみとめた。肝線維芽細胞株であるLX-2細胞にPlectin, Integrin beta1, CD151の遺伝子発現抑制実験を行ったところ、Integrin beta1のみ増殖抑制を認めた。以上のことから、Integrin beta1をターゲットにした治療は、癌細胞のみならず線維芽細胞の増殖をも制御する可能性が考えられた。 ヒト肝内胆管癌組織におけるDesmosome 蛋白の発現を調べたところ、desmoglein-3 および-4, desmocolin, desmoplakinの発現を胆管癌組織の癌細胞に認めた。また、これらの発現は培養胆管癌細胞株(RBE, SSP-25, HuccT-1)にも認めた。これらの遺伝子に対するsiRNA遺伝子導入を上記肝内胆管癌細胞株に行うと、desmoglein およびdesmoplakinに細胞増殖抑制効果を認めた。この増殖抑制効果に関するsignal 伝達を調べたが、明らかな経路は見当たらなかった。今後の課題である。
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