研究課題/領域番号 |
26462052
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平野 聡 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50322813)
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研究分担者 |
土川 貴裕 北海道大学, 大学病院, 助教 (50507572)
中村 透 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70645796)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膵癌新規分子標的治療薬 / 膵癌バイオマーカー |
研究実績の概要 |
膵癌臨床検体におけるEphA4の発現状況と肝転移再発や予後との関連の検討を施行した。Tissue microarray(TMA)法を用い、膵癌99例の臨床組織検体におけるEphA4免疫染色と臨床情報を比較した。99例中46例(46.5%)にEphA4陽性症例を認め、陰性例と比較しOver all survivalで有意に予後不良であった(p=0.029)。またEphA4発現を含めた臨床病理学的因子の多変量解析でEphA4発現陽性は独立した後規定因子であった。特定の再発部位との関連は認められなかった。 次にEphA4を高発現する膵癌細胞株MIA-PaCa2を用いEphA4阻害剤4-(2,5-dimethyl-1H-pyrrol-1-yl) -2-hydroxybenzoic acid(以下、Compound 1と略記)が濃度・時間依存性に細胞増殖抑制効果を発揮するかを検証し、有効濃度を決定した。またヒト正常繊維芽細胞を用いた実験で至適濃度を決定した。結果、Compound 1は単剤で有効な膵癌増殖抑制効果を発揮した。膵癌に対する既存の分子標的治療薬は、単剤で効果がなく抗がん剤との併用療法として承認されている。当初単剤での効果が得られない場合、にGemcitabineとの併用療法を計画していたが、今回単剤での効果が非常に高かったため、併用療法の試験は施行していない。また、Compound1の副作用の観点から、心臓、肺、肝臓、腎臓といった生命維持に重要な臓器や、神経細胞に与える影響についても観察終了後の摘出臓器において検討を行い、明らかな障害を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた膵癌の新規バイオマーカーとしての可能性と膵癌の新規治療法としての可能性に関して、両者とも検討が終了し、平成27年度の計画の約50%を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在の膵癌の標準治療であるGemcitabineとの比較が必要と考える。特にIn vivoでの比較検討を要する。また、臨床応用を見据えた準備が必要と考える。具体的には、学内に設置された北海道臨床開発機構と協力し、国内臨床試験の導入に対応する環境整備、資金調達を整える必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が順調に進んだため、残が25,581円となった。次年度の実験消耗品費へ加え、細胞実験へ使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究期間全体での、使用計画の変更はない。平成27年度に、当初より購入予定の物品、試薬等を購入し、概ね計画通り適切に使用予定である。
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