研究課題
4種類のリン脂質よりリポソームを作成すること、超音波造影剤ガスパーフルオロカーボンを封入することに成功した。ポリエチレングリコール(PEG)修飾されたリポソームを作成し、オクトレオチドとともにインキュベートすることにより、リポソームの蛋白質重量が増加したことを確認した。これによりオクトレオチドがリポソームに結合できたと考えられた。このオクトレオチド結合リポソームと無処置のリポソームを用いた高周波超音波検査を正常血糖マウスに行い、膵臓の造影効果を評価した。膵臓はリポソーム投与後より1分以内にエコー輝度が上昇し、その後徐々に減少に転じた。一方、オクトレオチドの有無による造影効果の違いは明確ではなかった。また、糖尿病マウスに対する造影効果は正常血糖マウスと比べ大きな違いはなかった。以上より、糖尿病の有無は、少なくとも膵実質の障害がない限り膵臓の血流に大きな差違がないと考えられた。また、オクトレオチドの有無に造影効果の違いがないことについては、オクトレオチドが膵島に結合する機構は抗原抗体反応によるものであるが、造影剤は血流に乗って移動するため、抗原抗体反応を起こす前に造影剤が膵島から流れ、うまく結合できなかったためでないかと考えられた。ex vivoにおける膵島の超音波画像化実験に関しては、培養液の中の膵島は、高周波超音波検査で画像化することができた。このことにより、膵島と周囲のコントラスト差が大きければ、数100マイクロメートル程度の大きさである膵島を超音波検査で観察することは可能であることが明らかになった。造影剤による標識実験については未施行である。以上の結果を踏まえ、次年度も実験を進めていく。
2: おおむね順調に進展している
計画の3課題のうち、1課題を遂行することができた。
オクトレオチド結合リポソームが膵島に結合させることが難しいと考えられ、膵島移植実験に関しては膵島の生着を造影超音波検査で評価する実験に切り替えていく(2年時)。一方、膵神経内分泌腫瘍に関する実験に関しては、オクトレオチド結合リポソームを使用した造影超音波検査により、治療効果を評価する実験を進める予定である(3年時)。
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