研究課題
昨年度同様にリン脂質よりリポソームを作成し、超音波造影剤ガスであるパーフルオロカーボンを封入したナノメートルサイズの超音波造影剤を作成した。ソマトスタチンアナログであるオクトレオチドを結合させた剤型を引き続き作成し、腎被膜下膵島移植を受けたマウスに対して造影超音波検査を行ったが、造影後の移植膵島のエコー輝度の上昇は認められたものの、オクトレオチドの有無による膵島の造影効果の差は認められなかった。研究開始当初に期待した結果通りではなかったが、造影剤投与後の移植膵島のエコー輝度の上昇はすなわち、超音波造影剤が移植膵島に流入することを示す所見であると考えられた。そこで超音波検査と移植膵島の組織学的所見から膵島に造影剤の流入があったことを示すため、蛍光色素を結合させたリポソームを作成し、これを用いた造影超音波検査実験を開始した。同種同型腎被膜下膵島移植を受けた糖尿病マウスに対し、移植後14日、28日、56日に蛍光色素添加リポソームを尾静脈注入し、高周波超音波検査を施行した。移植膵島は集合体として腎被膜下に存在し、造影剤投与後より膵島集合体内部に速やかな造影剤の流入がエコー画像で確認できた。また、移植膵島のエコー輝度は数値化データ的にも上昇が認められた。造影剤投与後15分間移植膵島を観察したが、そのエコー輝度は徐々に低下しつつも投与前と比べ高いままで維持された。以上より、移植膵島の生着は、造影剤投与後のエコー輝度の上昇を確認することにより評価できると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
移植膵島の生着を評価する検査としての超音波検査の有用性は本研究から証明されつつある。
今後は、膵島移植後の耐糖能データが膵島のエコー輝度と相関するか検証する。また、造影剤が移植膵島に流入したのかを組織学的検討によっても検証する。
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