研究課題
昨年度まで糖尿病マウスに同種同系腎被膜下膵島移植を行い、その尾静脈よりパーフルオロカーボン封入ナノバブル超音波造影剤を注入し、移植片の造影効果を評価する実験を行った。今年度は腎被膜下膵島移植により血糖値が正常化した、あるいは血糖の改善が不十分なマウスに造影超音波検査を行い、その造影効果に差異があることを評価する実験を行ったが、血糖が正常化したマウスの移植片が造影剤によって強く造影され、高エコー像として確認されたのに対し、血糖の改善効果が不十分なマウスの移植片は造影効果が弱く血糖正常化マウスに比べて低いエコー像として捉えられた。血糖正常化マウスの移植片のエコー輝度は数値化データ的にも血糖改善不十分マウスに比べて高値であった。また、血糖値と移植片とのエコー輝度との間には負の有意な相関が認められた。以上より、造影超音波検査は膵島移植を受けたマウスの内分泌機能を評価する上で有用であることが示された。この3年間の研究を通して分かったことは、超音波造影剤に薬剤を付加することが可能であること、膵島を一箇所に固める移植法であれば超音波により膵島を画像化することができるということ、そして造影超音波検査が移植片の生着と状態、それに伴う耐糖能の評価に有用であることである。今後の展望としては膵島の生着に有用な薬剤を付加した治療的超音波造影剤の開発、より大型の動物への造影超音波検査の有効性の検証などを考えている。
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Pancreas
巻: 45 ページ: 362-369
10.1097/MPA.0000000000000462