研究課題/領域番号 |
26462055
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
皆川 昌広 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (10464009)
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研究分担者 |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
坂田 純 新潟大学, 医歯学系, 講師 (70447605)
滝沢 一泰 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30706437)
高野 可赴 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (30606306)
小林 隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40464010)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アミノレブリン酸 / 膵癌 / 化学療法 |
研究実績の概要 |
悪性度の高い癌の予後を改善させるためには、使用する化学療法剤の感受性をみることは重要である。しかしながら,膵癌の化学療法においてキードラッグとなるゲムシタビン感受性評価を化学療法施行前に感受性を確認する方法はまだ確立していない。我々は膵癌患者において、アミノレブリン酸投与による腫瘍蛍光強度と化学療法剤奏功性が相関していることを見出し、本研究にてさらなる症例を加えて確認を行った。アミノレブリン酸を術前に投与した膵癌患者14症例の患者の検体を用いて、アミノレブリン酸の蛍光度合いを評価した。その結果、蛍光がないGrade 0が6例、点状あるいは部分的な蛍光であるGrade 1が3例、ほぼ腫瘍全体に蛍光があるGrade 2が5例認められた。術後1年以内での再発率をみてみるとGra de 0、1が55.5%、Grade 0%であった。また、Grade 2症例におけるゲムシタビン投与のPDよびNC率は100%(3例中3例)であり、これらの結果から、化学療法の奏効率および膵癌予後が,アミノレブリン酸の蛍光性が関連していることが示唆された。さらに膵癌の腫瘍細胞株を使った実験でも腫瘍細胞のゲムシタビン感受性とアミノレブリン酸の蛍光度がある程度一致することがわかった。このことからアミノレブリン酸の代謝とゲムシタビン排出がなんらかの関連があると考えられる。本研究の継続により、腫瘍蛍光法を応用した低侵襲かつ精度の高い新しい化学療法剤効果予測法の確立が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者症例の蓄積によって臨床的評価との関連確認は済んでいる。また、アミノレブリン酸代謝がゲムシタビン代謝と関連することを確認するため、腫瘍細胞株を使った実験をすでに開始している。ゲムシタビン感受性のあるMIAと低感受性のPANC-1のアミノレブリン酸蛍光で差がでることを確認しており、アミノレブリン酸代謝とゲムシタビン代謝は相関するという仮説に沿った結果を得ている。現在、アミノレブリン酸代謝における輸送・代謝酵素の発現をmRNAレベルおよび免疫組織化学にて確認中である。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍細胞株を用いた実験系で、アミノレブリン酸代謝・輸送に関わる分子のうちPPOX、CPOX、FECH、ABCG2、ABCG6、SLCA1、SLCA2の発現をmRNAおよび免疫組織化学にて確認を行う。重要なアミノレブリン酸代謝とゲムシタビン代謝の両者に関連する分子Xを確認する予定である。分子Xが特定された後、患者検体を使い、実際の腫瘍細胞での分子Xの発現度を免疫組織化学にて評価し、アミノレブリン酸蛍光が膵癌におけるゲムシタビン感受性診断法として実際の臨床上に応用できることを確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内において依頼した臨床検体からの標本スライド作成および免疫組織化学による染色を追加したため,年度をまたぐ経費使用が必要となった。そのため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
追加作成した臨床検体からの標本スライドにて,CPOX,PPOX,ABCG2,ABCG6抗体による免疫組織化学染色を行って,その分子の発現を臨床検体で確認する予定である。
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