研究課題
悪性度の高い膵癌の予後を改善させるために,化学療法剤の効果予測は非常に重要である.我々は膵癌患者において,5-アミノレブリン酸(5-ALA)投与による腫瘍蛍光強度と化学療法剤奏功性が相関していることを見出し,本研究にてGemcitabine効果を5-ALA蛍光の計測によって予測できうる可能性を確認した.術前5-ALA投与によって膵癌の標本を蛍光させ、そのパターンによって膵癌予後と相関すことがわかっている.15名の膵癌患者において,5-ALA投与における切除標本の確認をおこなった.蛍光パターンを3つのタイプ(カテゴリー0:蛍光なし,カテゴリー1:点状また部分的蛍光,カテゴリー2:全体的な蛍光)に分類した.カテゴリー0および1群,カテゴリー2群の2群にわけてKaplan-Meier法にて比較するとカテゴリー2群のほうがカテゴリー0および1群にくらべると、有意に2年生存率が高かった.膵癌細胞株にてALA蛍光性とGemcitabineの奏効率をみてみると,ALA蛍光性があるものはGemcitabineの奏効率が高かった.これらの結果から、5-ALAによる腫瘍の蛍光パターンからGemcitabineの奏効性をある程度予測できる可能性が示唆された.さらに、5-ALA代謝と化学療法の相関性を細胞レベルで検討するため、膵癌細胞株を用いて、ジェムザール感受性と5-ALAの蛍光強度の相関をみてみた.すると、Gemcitabineに感受性の強い、MIAの蛍光比率(一定細胞占有面積に対する蛍光面積比率)は80%であるのに対して、Gemcitabine耐性とおもわれるPANC-1細胞株では20%程度であった.5-ALA代謝とGemcitabine代謝は何らの相関性があると考えられた.
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