研究課題/領域番号 |
26462056
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
滝沢 一泰 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30706437)
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研究分担者 |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
皆川 昌広 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (10464009)
高野 可赴 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (30606306)
小林 隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40464010)
亀山 仁史 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40626420)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 簇出 / AE1/AE3染色 |
研究実績の概要 |
【目的】膵癌腫瘍先進部での細胞間接着能を失って孤立した癌細胞塊 Budding cancer cell(BUD)の形質発現から腫瘍組織進展,転移に至る機序を解明することである。 【方法】平成26年度は当科において1990年から2009年度に切除された通常型膵癌80症例を対象として以下の事項につき検討する。 1、膵癌切除標本の薄切切片を抗サイトケラチン抗体(AE1/AE3)による蛍光免疫組織化学にて標識し、共焦点レーザー走査型顕微鏡にて立体構築像を作成することでBUDが癌腺管から離れた癌胞巣であることを視覚的に確認する。 2、切除標本80例における腫瘍の最大割面において、倍率20x10の顕微鏡で腫瘍辺縁を観察して1視野あたりの最大BUD数をカウントする。また、BUDを明瞭化するためのAE1/AE3を用いた免疫組織化学及びリンパ管,静脈侵襲と区別するための免疫組織化学(D2-40,victoria blue)を行う。 【結果】1、膵癌切除標本において、共焦点レーザー走査型顕微鏡にて立体構築像を作成しBUDが癌腺管から離れた癌胞巣であることを視覚的に確認した。 2、切除標本80例における最大BUD数をカウントし、免疫組織化学(AE1/AE3,D2-40,victoria blue)を行った。一般的なHE染色でのBUD数と比較して、免疫染色を行ったほうが、最大BUD数は有意に増加(15.3 vs 7.8;P<0.001)した。しかし、一般的なHE染色でのBUD数評価の方が、AE1/AE3染色での評価より予後予測因子としては有用であった。以上の結果を国際学会5thA-PHPBAにて発表(HPB 2015,17(Suppl.s2),166)した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の計画のとおり,膵癌切除標本において、立体構築像を作成しBUDが癌腺管から離れた癌胞巣であることを視覚的に確認した。 切除標本80例における最大BUD数をカウントし、免疫組織化学(AE1/AE3,D2-40,victoria blue)を行った。その連続切片において、AE1/AE3及び抗 Ki-67 抗体を用いた二重免疫組織化学を行った。 以上の結果を国際学会5thA-PHPBAにて発表(HPB 2015,17(Suppl.s2),166)した。 しかし、TUNEL法での蛍光免疫組織化学(IF)は現在染色中であり、規定症例数を完遂していない。この一点のみが当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は2009年度~2011年度に切除された通常型膵癌20症例を追加して、前年度と同じ検討を行う。この追加症例においては、すでに免疫組織化学は終了している。平成26年度の80例に加え、この追加症例20例においてTUNEL法によるアポトーシスの評価を行う。以上で膵癌切除例100例において必要なBUD評価、Ki-67を用いた細胞増殖能評価、病理学および分子生物学的データはすべて揃うことになる。さらに膵癌腫瘍先進部のBUDにおける細胞表面マーカーを検索し、E-Cadherin の欠失及びビメンチン発現を確認して、BUDにおいて上皮間質転換(EMT)が起こっているかどうかを解明する。膵癌における腫瘍組織進展や転移は、BUDでの細胞増殖能及びEMTがその原因であるかどうかの結論を出し、英文論文を執筆してoncology関係の雑誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究過程においてTUNEL法での蛍光免疫組織化学(IF)は規定症例数を完遂していない。そのため、予定していた経費に余剰がでたため。
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次年度使用額の使用計画 |
【消耗品】膵癌症例におけるモノクローナル抗体(AE1/AE3,D2-40,Victoria blue,Ki-67)を用いた免疫組織化学、TUNEL法によるapoptosis検出、蛍光免疫組織染色によるKi-67の核内発現の評価に必要な抗体,蛍光色素および封入剤(DAPI)の購入費として使用する。 【旅費】当該研究発表のための、国内旅費あるいは国外旅費として使用する。 【謝金等】当該研究成果を英文雑誌に投稿する予定であり、英語論文の校閲費、複写費、印刷費、研究成果投稿料、論文別刷費などの費用として使用する。
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