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2015 年度 実施状況報告書

新規MDCT撮像法、MRIによる、膵手術後膵液瘻発生高リスク群予測に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26462057
研究機関金沢大学

研究代表者

北川 裕久  金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80272970)

研究分担者 井上 大  金沢大学, 大学病院, 助教 (00645129)
牧野 勇  金沢大学, 大学病院, 助教 (30543657)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード膵の線維化と脂肪変性 / 術前画像検査 / MDCTとMRI / 膵液瘻発生の術前予測
研究実績の概要

研究の目的:膵切除術後(特に膵頭側切除)の膵液瘻発生は、「膵の外分泌能」、「膵実質の線維化」と深く関わる。術前膵外分泌機能検査の結果、MDCT、MRI所見、膵切除材料の組織学的所見とを対比し、膵液瘻発生と対比し、術前MDCT、MRI画像から、膵実質の線維化、脂肪変性を評価し、膵液瘻の高リスク群を正確に選び出せることを目的にする。

現在のところ、データを蓄積しつつ解析を進めており、以下のような結果を確認している。
1.現在のところ膵切除47症例において、切片のプレパラートでアザン染色を施し、画像解析ソフト(lmage Pro PLUS)にて検討し終えている。2.解析し終えた症例では、膵線維化面積比が20%以上の症例はおよそ3割にみられたが、Grade B以上の膵液瘻の併発はみられていなかった。3.解析し終えた症例では、膵脂肪化面積比が10%以上の症例は1割程度にみられるが、膵液瘻との関連性はみられなかった。4.膵外分泌機能の変化は、組織学的な膵の線維化、脂肪変性などの組織学的障害と良く相関していた。5.組織学的解析において、膵液瘻の危険因子の検討で、外分泌機能が障害された膵か否かを主膵管径のカットオフ値3mm で分ける手法がよく用いられるが、主膵管径3mm 以下の症例にも外分泌障害膵が多く含まれている可能性が高い。6.これらの膵の組織学的障害の程度は、Multi Detector-row Computed Tomography(MDCT)、Magnetic Resonance Imaging(MRI)の所見と相関しており、画像所見を数値化して術前に膵液瘻発生のリスクを予見できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

画像解析では、今年度にかけての膵手術症例全47例において、MDCTで線維化の程度を評価すべくデータを蓄積した。すなわち、膵切離部位にRegion of interest(関心領域;ROI)を設定し、単純CT を撮像後、ヨード造影剤(350mgI/ml; 1.8ml/kg)を30 秒固定で急速静注し、25 秒後, 40秒後, 70 秒後, 180 秒後, 新たに超遅延相として300 秒後に撮像を行って、CT 値の経時的変化のデータを集積している。また、これらの症例には全例MRI 脂肪抑制T1 強調像(FST1WI)画像をDynamic study前に撮像し、その信号強度を集積している。
組織学的解析では、順次膵手術症例において、膵切離手技に影響されない、切離面より3mm 離れた部位の組織において単位面積あたりの腺房細胞部、線維化部、脂肪変性部の占める割合を求めるべく、HE 染色、アザン染色を施し、倍率x20の顕微鏡写真を撮り込み、画像解析ソフト(lmage Pro PLUS)にて解析し、部位によるバラツキを解消するため、8スライスの結果を平均して求めている。手技的にも安定し、再現性のあるデータが得られている。
呼気膵外分泌機能検査は、Benzoyl-L-Tyrosyl-[1-13C]Alanine(以下、13C-BTA)が現在製造されておらず、新たに作成した場合コスト面で莫大な費用がかかることが判明したため、代わりに広島大学などで臨床研究が行われ安全性も証明されてきたクロレラ産生13C標識混合中性脂肪カプセルを用い、臨床試験として症例を重ねている。
膵液漏出の診断は膵手術症例全例で行っており、膵切離、あるいは膵消化管吻合部近傍に留置したドレーン排液のアミラーゼ濃度、排液量、総アミラーゼ排出量(アミラーゼ濃度と廃液量との積)を、術後1,3,5,7 日目に測定してデータを蓄積している。

今後の研究の推進方策

前年度までと同様、症例ごとの組織学的解析結果を蓄積していくとともに、過去の膵手術症例においても同様の検討を行い、術中測定した膵管径、術前MDCTで測定した膵管径、膵液瘻発生の有無との関係を明らかにする。
画像解析については、得られたCT値の変化よりTime density curve (TDC)を作成、TDC における形状、造影剤検出時間、傾き、最大CT値到達時間、最大CT 値、持続時間、平衡相CT 値などを抽出していく。それに合わせて、MRIのデータとともに、組織学的解析結果との関係を明らかにする。
また、呼気試験のデータの蓄積は遅れ気味であるが、症例を集積し組織学的解析結果との関係を明らかにしていく計画である。

次年度使用額が生じた理由

物品納入価格が低く抑えることができたため、196,694円の次年度使用額が出ました。

次年度使用額の使用計画

消耗品(プレパラート、カバーグラスなど)購入費、英文添削費、投稿費に充てる計画です。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 膵頭部領域癌に対する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術2016

    • 著者名/発表者名
      北川裕久、八木康道、丸銭祥吾、佐々木省三、寺田逸郎、吉川朱美、福島 亘、泉 良平、野島直巳、藤村 隆
    • 雑誌名

      消化器外科

      巻: 39 ページ: 212-217

  • [学会発表] 背側膵・腹側膵に発生する膵頭部癌に対する臨床解剖学的戦略2015

    • 著者名/発表者名
      北川裕久
    • 学会等名
      第19回臨床解剖研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-11-14 – 2015-11-14
  • [学会発表] 次期膵癌取扱い規約(第7版)からみた膵癌の診断・治療の方向性2015

    • 著者名/発表者名
      北川裕久
    • 学会等名
      第121回消化器病学会北陸支部例会
    • 発表場所
      金沢市
    • 年月日
      2015-11-08 – 2015-11-08
    • 招待講演
  • [学会発表] 膵頭部癌における膵外神経叢浸潤2015

    • 著者名/発表者名
      北川裕久、寺川裕史、牧野勇、田島秀浩、宮下知治、太田哲生、八木康道、池田博子、大坪公士郎、蒲田敏文
    • 学会等名
      第10回膵癌術前治療研究会
    • 発表場所
      さいたま市
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-19
  • [学会発表] 胆道癌に対する外科手術シュミレーション2015

    • 著者名/発表者名
      北川裕久、蒲田敏文、太田哲生
    • 学会等名
      第51回日本胆道学会学術集会
    • 発表場所
      宇都宮市
    • 年月日
      2015-09-17 – 2015-09-18

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公開日: 2017-01-06  

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