研究課題/領域番号 |
26462057
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北川 裕久 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80272970)
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研究分担者 |
井上 大 金沢大学, 附属病院, 助教 (00645129)
牧野 勇 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (30543657)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 膵液瘻 / 膵線維化面積比 / 膵脂肪化率 / CT造影パターン / MRIのT1値 / MRIのT2値 |
研究実績の概要 |
膵頭十二指腸切除術(PD)後の膵液瘻(POPF)は最も危険な合併症であるが、客観的で有効な発生予測因子を見つけ出すべく、膵組織の線維化、脂肪変性について組織学的に解析し、術前画像検査と比較検討する。【方法】PDを行った103例を対象とし、膵切除標本で、残存膵の性状を最も反映する膵切離断端付近の組織にEVG染色を行い、脂肪化面積率(Fat)と脂肪化パターンはプレパラートのマクロ像を1200dpiで取り込み、組織学的な線維化面積率(Fib)は顕微鏡20倍の視野で8箇所の部位で画像を取り込み、それぞれをImage-Pro Premierを用い、面積率で求めた。更にcutoff値をROC曲線より求め、ISGPSのGrade B, Cの膵液瘻との関連を今までいわれてきた膵液瘻の危険因子と比較しつつ検討した。【結果】POPFの有無からみた線維化面積率は(無:35.2±26.2 / 有:11.9±8.0、p<0.0001)、脂肪化面積率は(無:23.2±16.4 / 有:25.8±15.2)で、線維化面積率はPOPFと有意な関連性がみられた。線維化面積率でのcutoff値は21.0(感度0.96、特異度0.55)で、今までいわれてきた客観的な膵液瘻危険因子と比較したが、最も関連性の高い因子であった。また各症例の画像解析で、MDCTでは膵切離部位にRegion of interest(関心領域;ROI)を設定し、ヨード造影剤(350mgI/ml; 1.8ml/kg)を30 秒固定で急速静注し、25 秒後, 40秒後, 70 秒後, 180 秒後, 新たに超遅延相として300 秒後に撮像を行って、CT 値の経時的変化のデータを集積している。また、MRI 脂肪抑制T1 強調像(FST1WI)画像をDynamic study前に撮像し、その信号強度を集積し、組織学的な結果と比較検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究分担者の井上大氏(造影MDCTにおける膵実質のCT 値の経時的変化、MRI 脂肪抑制T1 強調像(FST1WI)画像における信号強度の測定を担当)が、2016年4月より1年間米国Maye Clinicに留学されたため画像解析の結果との検討が滞っていた。現在は帰国されており、解析に必要なデータはほぼ得られているので、これらを元に同研究分担者とともに解析をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究者の放射線科医とともに、今までにえられた組織学的なデータと画像のデータを照らし合わせ、術前画像診断での客観的膵液瘻予測方法を確立していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究関連論文を投稿して受理されましたが、それ以後の掲載料請求、掲載号数ページは催促したにもかかわらず未だ届いておらず、支払いができてない。
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次年度使用額の使用計画 |
掲載料請求が届き次第、残額を使用する計画である。
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