研究課題/領域番号 |
26462060
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
橋本 泰司 広島大学, 大学病院, 病院助教 (50423380)
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研究分担者 |
村上 義昭 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (10263683)
上村 健一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 講師 (60379873)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膵癌 / 腫瘍溶解性組換えウイルス / 抗癌剤耐性化遺伝子 / 多光子励起蛍光顕微鏡 / in vivoイメージング |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒト固形がんの中でも特に抗癌剤耐性を示し悪性度が高い膵癌に関して、転移・再発過程における腫瘍の動態、遺伝子発現の経時的変化を多光子励起蛍光顕微鏡によるイメージング技術をもとに解析を行うものである。平成26年度は、膵癌関連遺伝子(hTERT, SAMD4/DPC4)、抗癌剤Gemcitabineに対する代謝・transporter蛋白のイメージング発現解析、ならびに腫瘍溶解性組み換えウイルスによる抗癌剤感受性増強を目的に遺伝子導入を試み、膵癌動物モデルを作成することを目的とした。初年度研究計画に従い、プラスミドDNAをトランスフェクションし、膵臓癌細胞株においてのHPCコンストラクトのプロモーター活性の増強後、ヒト膵癌標的腫瘍溶解性組換えOncolytic poxvirus (poxvirus-GFP/PRFコンストラクト)の構築を行った。プラークアッセイによる組換えウイルス力価の評価を行い、ベクターによる蛍光タンパクの発現を確認している。これまでの当研究室では、アデノウイルスベクターを使用した特定の遺伝子導入の実験を行っているが、今回、ヒトhTERTをプロモーターとするアデノウイルスベクターにGFPを組み合わせ腫瘍特異的に発現するベクターを作成した。現在、本ベクターを使用し、膵癌細胞株にGFP/RFP遺伝子に導入するin vitroでの検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度当初研究計画では、膵癌マウスモデルの作成まで行うこととしていたが、GFP腫瘍特異的ベクターの作成に時間を要したため、in vivoモデル作成にまで至っていない。また、動物モデルを使用した、転移プロモーター候補のGene Chip 解析が未施行の状況である。in vivoモデルについては、これまでの当研究室のノウハウがあるため、平成27年度中に研究全工程は終了可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に使用予定であった、膵癌動物モデルの転移プロモーター候補のGene Chip 解析を施行。多光子励起蛍光顕微鏡を利用したin vivoモデルでの転移巣形成イメージング解析を行う。可能であれば、ヒトhTERTをプロモーターとなるアデノウイルスベクターにてGFPまたはRFPを腫瘍特異的に発現させ、腫瘍の血管内での移動・生着をイメージング解析を行う。また、異なる種の癌細胞株を利用し、転移巣形成の差異、特に転移・再発におけるclonalityを検討、血中に遊離している蛍光ラベルした腫瘍細胞 (CTCs: circulating tumor cells)を測定し、生存率・抗腫瘍効果、転移形成能との関連を解析、血中CTCの測定が転移再発の早期診断のバイオ・マーカーとなるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒトhTERTをプロモーターとなるアデノウイルスベクターにGFPを組み合わせ腫瘍特異的に発現するベクターを作成に時間を要し、当初予定していた遺伝子導入した膵癌細胞株の移植による膵癌動物モデルの作成が行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分として生じた使用額については、平成26年度計画としていた膵癌動物モデルの作成に充てる。Gene Chip microarray法と定量RT-PCR法により、転移プロモーター候補の探索、抗癌剤耐性化に関連するgemcitabine代謝・transporter gene (hENT, TS, DPTなど)の発現状況について解析を行う。 平成27年度分として請求している助成金については、当初の研究計画の実験に充てる。in vivoモデルでの転移巣形成イメージング解析、腫瘍の血管内での移動・生着: Circulating tumor cells (CTCs)の解析とがん診断バイオ・マーカーとしての有効性の検討、ヒト膵癌標的腫瘍溶解性組換えOncolytic poxvirus(poxvirus-hENTコンストラクト)のイメージング解析、抗腫瘍効果評価を行う。
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