研究実績の概要 |
胆管癌の神経周囲浸潤は予後不良因子のひとつであり、その関連分子を解明することを目的として、浸潤様式・胆管癌における神経周囲浸潤と関連分子の発現モデルの解析を行った。研究計画1.ヒトの胆管癌切除標本のパラフィンブロックを用いて免疫組織学的に各neurotrophin familyタンパク発現を解析する試験においては、Nerve Growth Factor発現が胆管癌神経周囲浸潤とは関連しないことが成果として得られた。Grial cell derived Neurotrophic Factor発現については、他研究機関での検証がなされていたこと、Brain derived Neurotrophic Factor, trk A, p75 Nerve growhth factor発現については、免疫染色の条件設定に難渋し、適切な評価が得られなかったため、成果が得られなかった。研究計画2.として挙げていた胆管癌腫瘍細胞においての関連分子発現について、胆管癌腫瘍細胞が入手困難となったこと、NGFの発現RT-PCRの専従研究者が不在となったことから研究が実施できなかった。研究計画3.胆管癌での総肝動脈周囲神経叢組織の神経周囲浸潤評価については、当初予定よりも手術材料の収集が大幅に遅れており、現在も検体の集積・免疫染色を継続実施中である。最終年度に予定していた研究計画4.として挙げていた、「胆管癌細胞株での神経周囲浸潤モデルの作成」についても、計画2に説明したごとく、胆管癌腫瘍細胞株の入手が困難であったため、実績できなかった。研究成果の意義・重要性としては、NGFが胆管癌切除標本で確認できなかったことから、胆管癌においてはNGF発現と神経周囲浸潤は関連がない可能性が示唆されたことであり、これまで膵癌・前立腺癌・頭頸部癌でいわれていた関連因子と異なる機序の存在が示唆された点が挙げられる。
|