本研究の目的は癌細胞の悪性度や治療抵抗性と深く関わっている細胞外マトリックスのリモデリングの機序や膵星細胞、炎症細胞の担う役割を明らかとし、新たな治療戦略を開発することである。初代培養した活性化型膵星細胞が作成するコラーゲンマトリックスは低酸素培養条件下ではより平行化し、癌細胞の浸潤を促進した。また、低酸素下で発現が誘導されるコラーゲン修飾因子としてPLOD2を同定した。活性化膵星細胞が作成するコラーゲンマトリックスは、正常脂肪組織由来の間質細胞が作るコラーゲンマトリックスと比較して、密で硬い構造であることを同定し、間質細胞の多様性がマトリックスの構造に影響を与えることが示唆された。
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