研究課題
Borderline Resectable(BR)膵癌に対する術前化学放射線療法(NACRT)の効果,適切な切除症例の選択,および治療効果予測に関して検討した.2000年から2015年12月までのBR膵癌71症例を対象.結果:1.BR-PV症例において,手術先行群,NACRT後切除群,NACRT後非切除群はそれぞれ17症例,11症例,22症例であり,NACRT後切除率は33.3%.BR-A症例において,NACRT後切除群とNACRT後非切除群はそれぞれ5症例と16症例であり,NACRT後切除率は23.8%.2.BR-PV症例の全生存期間中央値(MST)はNACRT後切除群で有意に良好(11症例中8症例が生存中)であり,手術先行群とNACRT後非切除群ではそれぞれ14ヵ月と19ヵ月であり有意差なし.BR-A症例のMSTはNACRT後切除群で良好(5症例中4症例が生存中)であり, CRT後非切除群では19ヵ月.3.GLUT1低発現症例はCRT後1カ月目の腫瘍縮小率が26.6%であり,GLUT1高発現症例の7.6%と比較して有意に高率(P=0.002).4.BR-PV症例手術先行群,BR-PV症例NACRT群,BR-A症例NACRT群のR0切除率はそれぞれ70.6%,100%,90.9%.5.術後1年以内再発群の術前CA19-9値は141U/mLであり,1年以内再発なし群の21U/mLより高値.6.NACRT後の非切除の理由としては遠隔転移が最多であり,多くの遠隔転移はNACRT後9ヵ月以内までに認められた.結語:NACRTはBR膵癌の予後改善のために有用であり,GLUT1発現はNACRTの効果予測因子となりえる.NACRT後9ヶ月以上遠隔転移の出現がなく,血清CA19-9値が正常値まで低下している症例は積極的に切除を行うことで予後の向上が期待できる.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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