研究課題
PKMのスプライシングを標的にした膵癌の新しい治療法開発を最終目標に以下のことを行った。1) 膵癌手術検体を用いたPKM1とPKM2の発現 膵癌手術摘出検体10例の癌部と正常膵管をマイクロダイゼクションを用いて削りだし、RNAを抽出した。Real-time RT-PCRによってPKM1とPKM2の発現を比べた。その結果、PKM2の発現は正常膵管、癌部ともにPKM1と比べ有意に高発現していた。また、PKM2の発現値は癌部で正常膵管に比べ有意に高値を示した。2) PKM2の標的分子の同定 siRNAを導入してPKM2の発現を抑制した膵癌細胞株とそのコントロールを用いてcDNA arrayにて網羅的遺伝子解析を行った。その結果、細胞周期関連遺伝子がPKM2の下流に存在することが示唆された。また、同様にメタボローム解析を行うと、PKM2の発現抑制によって乳酸の産生が抑制されるとともに、ポリアミンであるspermineの産生が低下していた。以上より、PKM2の発現はWarburg効果を促進し膵癌細胞の増殖に関与している可能性が示唆された。3) PKMの発現型の膵癌化への影響 PKM1ノックインマウスとPdx1-cre; K-ras G12Dを交配させ、PKM2の発現がない状態で膵癌癌化を検討した。その結果、膵癌は形成された。現在、コントロールと詳細に比較して、PKM2発現の有無が膵癌化に及ぼす影響を解析中である。以上より、PKM2の発現は、膵癌の悪性化機構に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Cancer Sci
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10.1111/cas.13211