研究課題/領域番号 |
26462079
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
高橋 秀典 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (90601120)
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研究分担者 |
丸橋 繁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20362725)
手島 昭樹 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (40136049)
冨田 裕彦 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (60263266)
井岡 達也 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (70501815)
秋田 裕史 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (70528463)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膵癌 / エクソソーム / 治療効果 |
研究実績の概要 |
第一に膵液内のエクソソームが抽出可能かどうか,膵頭十二指腸切除術施行後に留置される膵管チューブから採取される膵液を用いて,エクソソームを抽出した.採取したエクソソームからmRNAを抽出し,qualityをcheckするために,まずこのmRNAを用いてGAPDH, β-Actinの発現をPCR法にて検証した.その結果,膵液の原液から抽出したエクソソーム由来のmRNAは十分PCRに耐えうるqualiyであることが確認できた.また細胞診用に遠心分離し,細胞成分を除去した上清から抽出したエクソソームからも検討に足りうるmRNAが抽出できることが判明した.一方でこれらの実験でいくつかの問題点も明らかとなった.まず膵液内のエクソソームから抽出できるmRNAは2ng/ulと非常に微量であるため,頻回のPCRを行うことが出来ないということ,また取れる量が微量であるため,(そのままでは)発現の定量には不向きであるということが判明した. これらの問題を克服するために2つのアプローチを開始した.①膵液の収量を増やすためにセクレチン負荷下にERCP・膵液採取を行う(当センター倫理委員会承認済み).preliminaryな検討の結果,セクレチン負荷によって膵液採取量は平均約1.4倍に増加することが判明した.②頻回のPCRを行うことが困難であると考えられるため,検証するmoleculeを絞ることした.そのmoleculeの選定のために,術前化学放射線治療を施行後,根治切除術を施行した膵癌患者の血清を用いて,血清中エクソソームに含まれるmRNA,microRNAを解析することとし,術前治療前後の血清を50名の膵癌症例で集積した.以上,①,②の対策を行い,順次,解析を進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記(研究実績の概要)に示した通り,膵液から採取されるエクソソーム由来のmRNAは実験を行うに当たって,qualityは十分であったが,想定よりも収量が少ないことが判明した.そのため,ERCP下に採取される膵液自体の収量を増やすことが可能かどうかの検討が必要となり,また,これまでの研究で治療感受性に関連するとされている因子(RRM1,hENT1,CD24,CD44,EpCAM等)は数多くあるが,膵液エクソソーム由来mRNAで検証する因子をある程度絞り込む必要性が生じた.膵液の収量を増やす試みとして,セクレチン負荷下のERCP・膵液採取について追加の実験・検討が必要となった.膵液エクソソーム由来mRNAで検証する治療感受性因子の絞り込みのために,血清中エクソソームに含まれるmRNA,microRNAを検討することとしたため,これらに関する追加の実験が必要となった.
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,今後の研究の推進に当たって,①膵液の収量の増加,②検証因子の絞り込み,が重要である.これらの問題に対し,既にセクレチン負荷による膵液収量の増加の試みを開始し,膵液収量が増加することを確認済みである.セクレチン負荷によってより多くの膵液を採取して今後の研究に用いる予定である.また,膵液エクソソーム由来mRNA・microRNAで治療効果との関連を検証する因子の絞り込みに関しては,術前治療・切除術を施行した膵癌症例の血清中のエクソソーム由来mRNA・microRNAを用いることとした.既に50例の膵癌症例で術前治療前後の血清を確保し,これらの症例の病理組織学的治療効果の評価を終えた.治療効果と血清中エクソソーム由来因子(RRM1,hENT1,CD24,CD44,EpCAM等)との関連を解析し,膵液エクソソームで検討する因子の選定を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めるにあたって,追加実験が必要となり研究の進捗がやや遅れているため,予定していた試薬等の購入を実際の実験を行う時まで延期した.追加実験に必要な費用が,当初の想定よりも少額であったため差額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
既に追加実験は進んでおり,本年度中に研究の遅れを取り戻すことができると考える.追加実験が終了次第,当初予定していた実験を行うために,延期していた試薬等を購入し,研究を進める予定である.
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