研究課題/領域番号 |
26462086
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤本 和朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70644665)
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研究分担者 |
碓氷 章彦 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30283443)
大島 英揮 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40378188)
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
緒方 藍歌 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (70718311)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体材料 / 形状記憶ポリマー / 心筋再生 / 心筋梗塞 |
研究実績の概要 |
広範囲心筋梗塞に起因した壊死心筋は、線維化組織に置換され時間とともに再構築(リモデリング)し、心拡大や収縮障害、重症心不全を引き起こす。心臓は心拍により拡張、収縮を繰り返しており、梗塞障害部位を正常心筋と似た物理的な圧環境をもたらすことが重要な課題である。本研究では、能動的に張力に反応し復元することで収縮する、すなわち、弾性力により拡張期の張力は減少させつつも、一定の伸展刺激で復元収縮する、新規弾力生体吸収材料の開発を試みた。 e-カプロラクトン(CL)とD,L,-ラクチド(DLLA)との共重合体を架橋したP-(CL/DLLA)を作成し、生体温度域において形状記憶特性を示す組成の検討を行った。マクロモノマー法にて架橋したP-(CL/DLLA)の共重合比60:40において、生体温度域 (38.8℃)で温度応答性が得られた。力学的特性評価では、60:40では室温時(25℃)で241kPa、生体温度域(37℃)で218kPaとなり、生体温度域においても弾性率に変化を生じなかった。また50%反復伸張試験では60:40では1050%となり、張力反応性弾力を有することが分かった。 直径6mm、厚さ0.4mmのP(CL/DLLA)円形パッチをラット右室流出路に置換術した。対照群にゴアテックスを用いた。8週間後の評価では、生体吸収性材料は80%以上残存していたことから、長期観察モデルを追試し、組織学的観察を行った。12週後評価では、生体吸収性材料は50%ほど残存しており、蛍光免疫染色にてα-smooth muscle actin (α-SMA)および von Willebrand factor (vWF) 陽性細胞が散在している様子が確認された。48週後評価では、生体材料が完全に吸収されており、α-SMA陽性の平滑筋様組織の形成および豊富な新生血管が観察された。マッソントリクローム染色においても平滑筋様組織部位は弱赤に染まっていた。48週後までの生存率は100%で、組織学的にも生体適合性が良好であった。
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