研究課題
臓器移植における最大の課題である拒絶反応は急性拒絶反応に関しては免疫抑制剤やステロイド等の投与方法や開発により、移植成績は良好な傾向となった。しかし、従来型免疫抑制剤の長期投与では副作用の増加と医療費の向上を引き起こし、治療プロトコールの改善が待たれている。我々はマウス心臓移植モデルに免疫抑制効果を持たないと考えられている数種類の西洋薬を用いて、免疫抑制効果の有無を調査してきた。今回、HMG-CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチン)の心臓移植片に対する抗炎症効果を検討し、同時に抗BTLA抗体との組み合わせによる相乗効果を調査し、免疫制御細胞の誘導の有無と慢性拒絶反応制御の解析を行った。プラバスタチン・シンバスタチン等のHMG-CoA還元酵素阻害薬に関する基礎研究、臨床研究は数多く行われ、各診療科における一定のコンセンサスを得ているように思われる。特に、循環器科に関する報告は数多く、HPS(Heart Protection Study; Lancet 378:2013-2020. 2011)等のmeta-analysisがその根幹を支えており、長期投与における狭心症、心筋梗塞に代表される冠動脈イベントリスクの減少やそれを誘因する動脈硬化の抑制効果が期待できるとされている。平成26年度はプラバスタチンを拒絶が完了するまで経口投与し、心臓移植片の生着延長を調査した。平成27年度は平成26年度の実験を進め、3ug/dayと30ug/dayを投与した群の生着延長期間を調査した。また、抗BTLA(B and T Lymphocyte Attenuator)抗体を併用した群も作成し、50日以上の生着延長効果を確認した。平成28年度はBTLA抗体投与、スタチン投与群それぞれの生着延長を確認すると共に、移植心の冠動脈内膜変化を組織免疫学的に評価した。冠血管周囲にCD4+CD25+制御性T細胞の誘導を認め、同時に冠動脈内膜の増生が抑制されていた。現時点での解析をTransplantation ProceedingsやJournal of cardiologyに報告予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件)
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