研究課題
【AAA壁における血管新生、リンパ管新生についての検討】凍結保存標本の検討:人工血管置換術を施行したAAA症例の切除瘤壁を100症例以上凍結保存している。これらの標本を用いて、壁の血管新生、リンパ管新生ともに血管内皮細胞標識抗体(CD31)、リンパ管内皮標識抗体(podoplanin)を用いて、免疫組織学的検討を行うとともに、更に新生因子であるVEGFR-1、VEGFR-2、BEGFR3、VEGF-A、VEGF-Cの染色とRT-PCRを行い、新生が活発に起きている部位(内中膜)、そこへの炎症細胞の浸潤について検討している。【AAA患者におけるMRI 4D-flow解析とPET-CT撮影】我々はAAA症例数例に術前 MRI画像の4D-flow処理を試み、血流のベクトル解析、刷り応力値測定が可能であることを確かめた。術前のAAA症例全例で血流力学的な解析を行い、コントロール群と比較して壁の刷り応力がどのように異なるかを検討中である。【AAA患者における開腹人工血管置換術の際の術中リンパ管造影検査の実施】リンパ停滞の有無を確認:大動脈瘤壁における実際的なリンパ還流状態を調べるため、手術開始と同時に両側鼠蹊部にインドシアニングリーン(ICG)蛍光試薬を皮下注射し、術中に近赤外線カメラPDEにて術屋を観察した。リンパ停滞部位を確認:ICG蛍光リンパ管造影を施行した患者のAAA組織標本を蛍光顕微鏡で観察し、リンパが大動脈壁のどの層(内膜、中膜、外膜)で停滞しているかを検討している。【術前の4D-flow解析、PET-CT所見と切除AAA壁組織学的検討結果との照らし合わせ】刷り応力の検討:4D-flow 解析で術前に測定された最も刷り応力の高い部分と低い箇所を、標本上で組織学的に検討し、血管新生、リンパ管新生、エラスチンの変成の程度を検討中である。
3: やや遅れている
症例数、検体数が予定よりやや少ない。データー収集と解析を並行して行っている。最終的なデーター解析、考察に更なる時間を要すると思われる。
測定手も確立してており、設備も大学内に整っていることから、当面は研究を継続できる体制にある。また、研究組織として大学院生が3名在籍し、彼らを指導しながら本研究を行っていく予定である。データー収集と解析を並行して行っていく予定である。
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