研究課題
【AAA壁における血管・リンパ管新生】AAA壁の血管新生について、EVG染色でPodoplanin陽性+CD31陽性微小脈管が中内膜に高発現していた。VEGF-A あるいはVEGF-C陽性細胞も微小脈管の内外に多く見られた。AAA壁のリンパ管新生に関しては、免疫染色で外膜のpodoplaninの発現に差は認めなかった。内膜ではlymphatic microvessel area が 対象群では1.3±0.4% であったのに対しAAA群では4.5±0.4% と有意に高かった。以上の結果から、AAA瘤壁の内中膜の慢性炎症に伴い、より血管新生・リンパ管新生が起きていることが判明した。【術中ICG蛍光造影によるリンパ組織評価と切除AAA壁組織学的評価の比較】16例中11例の瘤壁でPDE観察によりICGの停滞の著しい部位を同定できた。発光部位は個体差があったが、肉眼的に瘤の最も突出した部位が目立った。動脈瘤切除後、蛍光強発光部を組織学的に評価した。切片標本を近赤外光法による蛍光顕微鏡で観察すると内中膜で強い発光が見られた。EVG染色、Podoplanin免疫染色標本でも同様の所見が得られた。さらにリンパ管周囲には炎症細胞・マクロファージが正常部に比して多く観察された。以上から、AAA壁の最大拡張部の内中膜を中心にリンパ管新生とリンパうっ滞が起きていること、慢性炎症を随伴していることが確認された。【MRI4D-flowによる壁刷り応力の分布と組織学的評価の比較】②の検討でリンパ管新生・リンパうっ滞が豊富に起きているAAA壁、ほとんど見られなかったAAA壁、正常大動脈の3か所に分け、術前のWSSとOSIの1心拍当たりの平均値、最大値、変化率を比較したが、有意差は認めなかった。AAA壁で起きているリンパ管新生やリンパうっ滞と瘤内腔にかかる血流力学的影響との関連を示すことはできなかった。
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