研究課題
今年度は、大動脈瘤モデルマウスを用いて、腹部大動脈瘤の発症・進展におけるVasohibin-1の果たす役割に関して検討を行う計画をしていた。平成27年度にはvasohibin-1をノックアウトしたマウスの実験を行った。既報に反してホモノックアウトはほとんど生まれず、代わりにヘテロノックアウトマウスを用いての実験となった。アンジオテンシンII(1,000ng/kg/min)を浸透圧ポンプを用いて4週間持続投与したところ、vasohibin-1ヘテロノックアウトマウスでも野生型マウスと同様に血圧は上昇した。一方、PBS投与群ではどちらも血圧に影響はなかった。一般にアンジオテンシンIIをマウスに持続投与すると蛋白尿が増えるが、このマウスでも蛋白尿は増加したことから、アンジオテンシンIIそのものはうまく作用していると考えられた。一方、予想に反して腹部大動脈瘤の破裂の悪化は観察されなかった。同様に、腹部大動脈瘤は同程度の割り合いで発症した。組織学的にも大きな差を認めなかった。2群間でコレステロール値や体重にも差を認めなかった。以上の実験から、Vasohibin-1をpartialに欠損した状態ではその意義は見いだせなかった、と結論した。そこで平成28年度にはvasohibin-1を過剰発現したマウスを作成し、同様の実験を行う予定となっている。すでにマウスの作成にとりかかっており、今後実験を進めていく所存である。
3: やや遅れている
一昨年~昨年にかけて当大学の動物資源部門が耐震工事を行ったため、動物実験計画が1年近くストップしていた。現在工事が終わり、急ピッチに動物の実験を進めている。
今後は過剰発現モデルを作成し、Vasohibinの意義について検討する予定である。現在すでにモデル作成にとりかかっている。
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