研究課題
胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術を受けた一部の患者は、術後に一時的または永久的な下肢麻痺が生じる。この下肢麻痺を軽減させる方法として、本申請者は虚血プレコンディショニングに注目した。虚血プレコンディショニングは、臓器に対して予め短時間の虚血再灌流を繰り返し行うことで、その後の長時間の虚血状態からの再灌流による臓器障害を軽減させる方法として報告されている。臓器に対して直接、虚血プレコンディショニングを実施する方法と、間接的な方法として遠隔臓器に対して虚血プレコンディショニングを実施する方法があり、これまでに動物実験において、心臓、腎臓、脊髄などに対して直接または間接による虚血プレコンディショニングを実施することで臓器が保護されることが知られている。これまでの動物を用いた研究において、虚血プレコンディショニングが脊髄虚血による下肢麻痺を軽減させることを観察している。また、その機序として血液中の細胞外microRNAの発現変化が、血液中のVEGFの濃度を一過性に上昇させることで、脊髄保護に作用している可能性を見出している。平成28年度には、ステントグラフト内挿術を受けた患者の術前と術後24時間・48時間の血清中の細胞外microRNAをマイクロアレイ解析を用いて網羅的に解析し、microRNAの発現変化から脊髄保護に関与する候補遺伝子をバイオインフォマティクス解析により抽出した。
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: 36758
10.1038/srep36758.