研究課題/領域番号 |
26462113
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
伊藤 学 佐賀大学, 医学部, 助教 (50555084)
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研究分担者 |
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (70243938)
野口 亮 佐賀大学, 医学部, 助教 (70530187) [辞退]
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 血管再生 / 組織工学 / 血管外科 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
我々は3次元培養での細胞凝集塊=スフェロイドに着目し、さらにそのスフェロイドを一つの単位として3Dデザイン通りに立体的な細胞構造体を造形するバイオ3Dプリンタを用いた血管再生の研究をすすめている。生体内で血管を構成する3種類の細胞(繊維芽細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞)を混合して管状構造体を作製し、さらに作製した複数の管状細胞構造体を直列に配置して培養することにより、構造体同士を連結させ構造体の長さを延長可能となった。連結一週間程で構造体同士の融合が進み、外観的な融合が確認でき、また構造体を構築している細胞塊の融合が進むに従い、連結構造体表面も全体的に滑らかな状態となった。構造体の組織染色観察を行った結果、連結面の融合不良と思われるような大きな不均一さは観察されず、ほぼ均一な組織像が得られた。長さの延長、長期培養した構造体では、600~800 mmHg以上の耐圧強度を確認し、培養期間や培地成分、熟成方法の改良など、最適な条件設定により、さらに耐圧強度をもった構造体の作製が可能であると考えている。また生体環境に近い拍動下で内腔を潅流できるバイオリアクターを用いた潅流培養も行った。細胞のみでできた本構造体は、解剖学的、血行動態的にヒトに近い大動物(ミニブタ)への急性期移植に成功した。ヒト細胞を用いたミニブタへの移植(異種移植)であり、免疫拒絶の問題が生じるため、免疫抑制剤の選択、量調整、投与方法の検討なども行った。また同時にヒト細胞を用いない自家移植モデルの確立のため、ミニブタ皮膚や血管から線維芽細胞、血管内皮細胞を採取、拡大培養し、構造体作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構造体の連結一週間程で構造体同士の融合が進み、外観的な融合に加え、連結構造体表面も病理組織学的評価においても滑らかな状態となることを確認した。大動物への移植成績は短期であるが、拍動下で潅流できるバイオリアクタの開発、異種移植での免疫拒絶抑制の検討、大動物(ミニブタ)へのヒト細胞を用いない自家移植モデル確立などへのさらなる進展があり、現在までの達成度としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえ、適正な条件(細胞ソース、細胞配合率、培養期間)を決定する。移植実験の際は、今後も引き続き拒絶反応を抑えるべくより適正な免疫抑制剤の検討や、自家移植モデルの確立を継続する。臨床応用への可能性を究明すべく、生体環境に近いバイオリアクターの開発、改良も引き続き行い、移植人工血管として適正な強度、機能をもった構造体を作製する研究を遂行する。
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