研究課題/領域番号 |
26462116
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
坂井 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10298432)
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研究分担者 |
渡辺 太治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20448723)
神田 圭一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60295649)
中山 泰秀 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50250262)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体内組織形成術 / カバードステント / 大口径血管 |
研究実績の概要 |
自己生体組織膜で覆われた新しいcovered stent "Biocovered stent" (バイオカバードステント)の開発を行っている。 これまでに、小口径(2から3mm)の冠動脈用ステントとシリコーンチューブを用いて、小口径血管用のバルーン拡張型バイオカバードステントを作製した。これをウサギの同種血管にバルーンカテーテルを用いて移植し、良好な結果を得ている。また、共同研究者らによって中口径血管用バイオカバードステントの作製、移植実験が同時に進められている。こちらは径9mmの末梢血管用ステントとシリコーンチューブを用いて作製されており、ウサギの同種血管へのバルーンカテーテルを用いた移植に成功し、良好な血管を得ている。 これらを踏まえた我々の研究は、ヒトの大動脈に匹敵する径20から30mmを対象とした、大口径血管用バイオカバードステントの開発を目的とする。まずは大型犬とミニブタを用いた大口径自己生体組織膜チューブ(バイオチューブ)の作製とその強度測定を行い、生体血管に遜色のない強度を有する物であることを確認している。小中口径血管においてはバルーン拡張型ステントで対応可能であるが、大口径血管ではバルーンが血流で流されてしまうことから自己拡張型ステントを使用することになる。そこで、Zステントを用いたバイオカバードステントの作製と、大動脈追従性を上げるような形態の工夫、そしてデリバリーシステムの考案を試行錯誤しながら進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在の問題点として、機材として使用しているシリコーンチューブの加工は手作業に頼ったままで、安定・確実性・作業効率の向上につながっていない。3Dプリンターの使用はコスト面の問題があり、シリコーンチューブに変わる機材は見つかっていないのが実状である。 またデリバリーシステムは、実臨床のステントグラフト手術で使われている企業製品を加工して使用している。多くの企業が血流に押し流されずに目的部位に留置するための工夫を考えているが、それにはカバードステント側にも工夫が必要であり、同様の工夫を加える試みをしてはいるが、期待通りの効果は得られていない。 そして、屈曲部に留置可能で追従性の高いカバードステントを、その形態を保ったままデリバリーシステム内に納める工夫を考案している。今のところ、シースに留置し再展開した時には、バイオカバードステントの形態が変化してしまっており、さらなる工夫が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
様々な問題点を解決するには、時間とコストがかかりすぎて困難だ得ると言わざるを得ない。 そこでまずは、安定したカバードステントの作製を第一に考えて達成していく方針である。組織膜の安定した屈曲対応型デバイス作製のため、シリコーンチューブをZステントステントの長さに合わせて切断したものをつなぎ合わせて機材として用いる方法を試していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画で考えていたようなデバイスを作製するにはコストがかかりすぎ、予定していた金額を超えていたため、使うに至らなかった。 また、デリバリーシステムにおいても、もう少し焦点を絞らなければ無駄な消費になると考え、一旦こちらにかけるコストも制限して持ち越しとした。
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次年度使用額の使用計画 |
追従型デバイス作製に焦点を置いて、追加実験を行う これまでと違った方法による機材の加工により、より確実にデバイスが作製できるかを追加実験で検証する 学会参加による情報収集を行う
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