研究課題/領域番号 |
26462123
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安樂 真樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70598557)
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研究分担者 |
長山 和弘 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00647935)
似鳥 純一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40424486)
村川 知弘 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50359626)
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80273358)
中島 淳 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90188954)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 虚血再灌流障害 / 肺移植 / ヒストン |
研究実績の概要 |
核内蛋白のヒストンは脳梗塞発症後に血中に遊離・上昇する事が知られており、マウス脳梗塞モデルでは遊離ヒストンによる血管内皮障害、肺障害が報告されている。脳死ドナーでも同様の事象が推測される事から、我々は肺移植後グラフト機能不全の要因として遊離ヒストンによる肺血管内皮障害の関与を仮説し、ヒストン肺障害モデルを作成した。さらに本研究では微小循環維持に重要な因子であるトロンボモジュリンを投与することで、ヒストン関連血管内皮障害、及びフィブリン分解抑制を軽減できるかその機序を含めて今後検討する。また、ヒストン障害後虚血再灌流により生じる血管内皮障害、NETs形成の機序を解明する。 今年度はヒストン関連肺障害モデルの作成(ラット)を行い、免疫学的、組織学的評価を行った。具体的にはLewisラット(オス、8週齢)にcalf thymus histoneを30, 50, 80mg/kg、PBS(コントロール)をそれぞれ静脈内投与し、投与後2時間、24時間で摘出肺のwet/dry ratioを測定した。肺障害を反映するサイトカインであるC-X-C motif chemokine 1(CXCL1)の血清濃度はヒストン投与後2時間で50, 80/mg/kg 両群で有意に高値を示す一方、24時間後にはコントロール群と差を認めなかった。肺傷害スコアはヒストン投与2時間後において50、80mg/kg群で高値を示し、かつ投与24時間後でも30、50mg/kg群でコントロール群に比較し有意に高値であった。以上より血中投与ヒストンは一過性のサイトカイン上昇と、引き続く肺組織障害惹起し、ドナー肺障害モデルとして有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒストン関連肺障害の程度を免疫学的、組織学的に評価し、ラットにおける肺障害モデルを作成し得た。またヒストン関連肺障害を惹起したドナー肺を移植することで、ヒトにおけるprimary graft dysfunctionに類似する病態を作成することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では作成したヒストン関連肺障害モデルを用いて、微小循環維持に重要な因子であるトロンボモジュリンを投与によりヒストン関連血管内皮障害、及びフィブリン分解抑制を軽減できるかその機序を含めて今後検討する。また、ヒストン障害後虚血再灌流により生じる血管内皮障害、NETs形成の機序を解明することが到達目標である。 引き続き研究協力者、大学院生との綿密な研究計画作成、定期的カンファレンスを通じて研究目的が達成できるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通り予算を使用したが、動物実験施行上スケジュールの関連で次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験そのものは計画通り進んでおり、次年度も研究計画に沿って実験を進めていく予定。
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