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2015 年度 実施状況報告書

胎生期肺組織移植による肺線維症治療の実験的検討 -豚肺線維症モデルを用いて-

研究課題

研究課題/領域番号 26462127
研究機関徳島大学

研究代表者

先山 正二  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (60291986)

研究分担者 滝沢 宏光  徳島大学, 大学病院, 講師 (90332816)
川上 行奎  徳島大学, 大学病院, 特任講師 (00596249)
鳥羽 博明  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (40403745)
梶浦 耕一郎  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (60596253)
坪井 光弘  徳島大学, 大学病院, 助教 (10711872)
吉田 光輝  徳島大学, 大学病院, 講師 (30403710)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード肺の再生 / 胎生期肺 / 肺組織移植 / 肺線維症 / 豚
研究実績の概要

本研究では、これまで我々がテーマとしている胎生期肺組織を用いて障害肺の組織修復を図るというこれまでの研究を、豚を用いて行い、大動物での知見を得ることが最終的な目標である。これまで我々はラットを用いてブレオマイシン誘導肺障害モデルにおける胎生期肺移植を行ってきた。ラットのモデルにおいては経気道的にブレオマイシンを投与することにより、肺にびまん性のmaildからmoderateな肺線維症モデルを用いて検討を行い、移植した胎生期肺組織がmaildからmoderateな線維化をきたした障害肺内で生着、分化することを示した。また、この時の検討では、ブレオマイシン誘導障害肺に移植した胎生期肺組織は、thyroid transcription factor-1 とClara cell secretory proteinの発現パターンが、正常の分化、成長過程での発現パターンと類似していることを示した。豚モデルにおいても、ラットで認められような現象が認められるものと想定している。しかし、豚においては実験個体への負担等を考慮してびまん性ではなく限局性に線維化の部分を作成することを試みている。豚のモデルにおける正常肺への胎生期肺組織移植においては、移植組織片が生着することをこれまでに確認している。ただし、豚の胎生期肺組織移植においてはレシピエントに対する免疫抑制を強力に行う必要がある。また、レシピエント内での移植胎生期肺組織片の分化速度は,生物種毎の本来の当該組織の分化、成長スピードに依存していると推察される現象を観察している。すなわち、豚においてはラット、マウスなどのげっ歯類に比べて成体肺内に移植した胎生期肺組織の分化、成長スピードがゆっくりしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我々のこれまでの胎生期肺組織を障害肺内へ移植することにより、移植肺組織が障害肺で生着し、障害肺の修復にどのように寄与するかについての検討は、主にラットを用いて行ってきた。ラットにおいては経皮的に気管内にポリエチレンチューブ(内径0.2mm、外径0.5mm)を留置し、チューブ留置3日後に、ブレオマイシンを一回当たり0.5mL/kgを2時間おきに計4回投与する方法で行ってきた。このようにして作成した場合には、投与後4週間後に、ブレオマイシン投与肺における組織学的な線維化の程度はAshcroft socreでは平均2.0から2.5を示し、mildからmoderateな安定した線維化を示した(Ashcroftの最高値は8で組織学的にはtotal fibrous obliterationの状態)。コントロールとして生食を投与した群では組織学的に、ほぼ正常に近い肺胞構造を示し、線維化は認めなかった。このmaildからmodereteな肺の線維化を比較的びまん性に来した個体を安定して得られたのが以前我々が行ったラットでの実験である。線維化が高度になると胎生期肺組織移植実験に供する前に死亡したり、周術期の侵襲に耐えれない状況が生ずる。今回の豚における実験ではびまん性に肺線維症を惹起させるのではなく、個体の侵襲と負担を考慮して、一つの肺葉に限局的に肺線維症を生じさせて実験に供する予定としていた。そのためにラットでは気管内にチューブを留置してブレオマイシンの経気道的散布を行ったのに対して、豚においては細径チューブを経皮的に肺内に刺入し、ブレオマイシンを注入する方法を考えていたが現時点では当初に想定したような結果は得られていない。

今後の研究の推進方策

実験動物への負担を考慮しつつ、本プロジェクトにおいて有用な肺線維症モデルを作成することに改善を要すると思われる。ラットで用いた経気道的投与方法とは異なった方法を考えている。経皮的にブレオマイシン注入用の細径チューブを肺実質内ではなく胸腔内に留置して胸腔内にブレオマイシンを投与する方法を考えている。そうすることで、臓側胸膜下の肺実質のある一定の領域にブレオマイシン誘導性の肺の線維化が見られるのではないかと考えている。この方を豚において施行する前には、ラットを用いて当該方法の豚で施行の可能性を検討する予定である。また、豚の胎生期肺組織をたびたび採取することは容易ではないため、新生仔豚の肺組織の利用も有用ではないかと考えている。また、これまでの豚における実験より免疫抑制を十分に行う必要性があると考えている。免疫抑制剤を餌に混入して経口摂取させるのは容易ではない。種々の食物に免疫抑制剤を混入してみたが、容易には摂取しない。豚は嗅覚が発達していると考えられる。従って、浸透圧ポンプを腹腔内に挿入し免疫抑制剤を投与する必要がある。また、げっ歯類と豚では個体発生における発生、分化および成長のスピートが異なっており、移植した豚の胎生期(または新生仔期)の分化、成長のスピードはげっ歯類のそれと比較してゆっくりしておりこの点を考慮して解析を進めてゆく必要がある。

次年度使用額が生じた理由

年度代わりの時期に実験用の酸素ガスと麻酔薬の購入を考えていたため、未使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

実験用の酸素ガスや麻酔薬の購入に使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Lung regeneration by fetal lung tissue implantation in a mouse pulmonary emphysema model2016

    • 著者名/発表者名
      Uyama K, Sakiyama S, Yoshida M, MD, Kenzaki K, Toba H, Kawakami Y, Okumura K, Takizawa H, Kondo K and Tangoku A.
    • 雑誌名

      J Med Invest

      巻: 63 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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