研究実績の概要 |
【対象】教室にて切除された間質性肺炎合併非小細胞肺癌25症例の癌組織。【方法】癌部、癌辺縁部のパラフィン標本を用いて下記の各種因子を免疫組織学的染色にて評価・検討する。【評価項目】使用抗体:TGF-beta (Santacruz, rabbit, polyclonal), TNF-alpha (Santacruz, rabbit, polyclonal), IL-6 (Abcam, rabbit, polyclonal), IFN-gamma (Abcam, rabbit, polyclonal), IL-10 (Abcam, rabbit, polyclonal) , IL-12 (LSBio, rabbit, monoclonal), FGF-2 (MELCK, mouse, monoclonal) , VEGF (Santacruz, rabbit, polyclonal), E-cadherin (Takara, mouse, monoclonal), Vimentin (Dako, mouse, monoclonal), PD-L1 (Spring bioscience, rabbit, monoclonal) を用いる。 【進捗状況】癌部のみならず、癌辺縁部にも上記因子の発現が認められた。 【今後の検討課題】(1)癌部、癌辺縁部、非癌部における炎症性サイトカイン、ケモカイン、線維化因子、EMT関連因子の蛋白レベルの発現(凍結標本を用いる)、(2)上記因子と臨床病理学的因子、再発、予後との解析、(3)Keyとなる因子の同定、(4)細胞株を用いた実験、(5)動物実験。
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今後の研究の推進方策 |
2016年6月より、手術検体(癌部、癌辺縁部、非癌部)を凍結標本としてストックしている。具体的な方策としては以下の事項を検討している。①手術標本より肺癌部、癌隣接部、非癌部の3か所からそれぞれ同重量の検体を採取し、Buffer内にてmincingし上清を回収する。ストックした上清をCytometric Bead Array Human Soluble Protein Master Buffer Kit(BD社)を用いて多項目サイトカイン同時定量解析を行う。測定サイトカインはVEGF、FGF-2、Fibronectin、HGF、IL-1β、TNF-α、IL-2、IL-6、IFN-γとする。得られた各部位のサイトカインプロファイルと臨床病理学的因子との相関関係を解析する。 ②同定したKeyサイトカインを用いてin vitro下における悪性度(増殖能、転移能)誘導実験を行う。非小細胞肺癌株(A549, H157, H2122, H358, H1299, H23,PC9)を培養し、培養上清中にKeyサイトカインを投与し細胞接着性試験、ゼラチンザイモグラフィー、ケモインベージョンアッセイ等にて浸潤・転移能を測定する。③逆に抗炎症薬あるいは抗線維薬(Pirfenidone他)を用いて腫瘍細胞の悪性度(増殖、転移能)抑制実験を行う。その際、培養液中のKeyサイトカイン濃度の推移を経時的に観察する。④マウスあるいはラット肺癌モデルによるin vivo下での抗炎症薬あるいは抗線維薬(Pirfenidone他)を用いた腫瘍制御実験を行い、至適投与濃度、経路、時期を決定し、その腫瘍抑制効果(腫瘍局所増大抑制、腫瘍浸潤・転移能抑制、生存率等)を解析する。
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