研究課題/領域番号 |
26462130
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
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研究分担者 |
土谷 智史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (30437884)
日高 重和 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30380885)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | NSCLC / Sp1 / DPD |
研究実績の概要 |
①EGFR-Sp1-DPDというcascadeが成立するかどうか、肺癌細胞株で検討した。PC9(EGFR exon19 mut)に、EGFを投与すると濃度依存性にDPD/Sp1発現の増加が得られた。またInhibitors (Gefitinib、MithramycinA: Sp1 inhibitor) を投与するとEGFRカスケードの下流因子およびSp1/DPDのmRNA、タンパク発現が抑制された。このことから、EGFR-Sp1-DPDのカスケードは存在すると考えられた。 ②薬剤投与後の、EGFR cascadeと転写因子の反応性およびDPD発現がEGFR変異の有無により差が認められるかを比較検討した。細胞株は野生株(H1299、H1437)変異株(PC9、HCC827:exonH19 mut、H1975:exon21 mut/T790M)を使用した。各細胞株においてbaselineのSp1/DPDのmRNA、タンパク発現を比較したところ変異株において有意に発現の増加が認められた。各細胞株にEGFを投与したところ野生株と比較し変異株で有意なDPD発現の増加がみられた。Inhibitor投与でも変異株において、EGFR下流の因子およびSp1/DPDの発現低下が認められた。 ③過去の報告から、EGFR変異を有する患者は有しない患者と比較し5-FU系抗がん剤の効果が乏しいとされている。今回、WST-1 assayで5-FU+Inbibitor(Gefitinib/MithramycinA)の併用実験(cell viabilityの評価)を行った。すると、変異株において有意に併用群でcell viabilityの低下を認めた。これは、変異株においてinhibitor投与によりDPD発現の抑制に伴う5-FU感受性の改善がえられた可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、論文作成を行い投稿準備中である。今後、査読者のコメントなどをもとに適宜追加実験を行っていく
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究内容において、Sp1 inhibitorとしてMithramyvinAを使用している。しかし、より厳密にSp1を抑制し、DPD発現とSp1の関わりを検討するにはsiRNAを用いた実験が必要であり今後行う予定である。また、invivoでヌードマウスにEGFR変異株細胞を皮下接種し、1か月後からTKIを経口投与し、コントロール群と比較して実際にDPDの発現に変化はみられるかを、病理組織学的、分子生物学的に検討する。また、DPD阻害作用を持つ5-FU系薬剤のS-1の追加経口投与を行い、相加的な抗腫瘍効果がみられるかも同様に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在の実験では細胞株の数が少なく、今後購入、または作成する必要がある。また、Sp1以外の転写因子に関する研究も今後行う必要がある
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、細胞株を増やして検討するべく、当該施設より購入を検討している。また、他の転写因子について検討するため、追加のInhibitorや抗体・Primarなどが必要である。 In vitroの研究後にはin vivoでの実験も計画している
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