研究実績の概要 |
①EGFR-Sp1-DPDというカスケードが成立するかどうか、肺癌細胞株で検討した。PC9(EGFR exon 19 mut)に、EGFを投与すると濃度依存性にDPD/Sp1の発現増加がみられた。また、Inhibitors(Gefitinib, MithramycinA: Sp1 inhibitor)を投与するとEGFRカスケードの下流の因子およびSp1/DPDのmRNA、タンパク発現が抑制された。このことから、EGFR-Sp1-DPDのカスケードは存在すると考えられた。 ②薬剤投与後のEGFRカスケードと転写因子の反応性およびDPD発現がEGFR変異の有無によって差がみられるかどうか比較検討した。細胞株は野生株(H1299,H1437)変異株(PC9,HCC827:exon19 mut, H1975:exon21 mut/T790M)を使用した。各細胞株においてbaselineのSp1/DPDのmRNA,タンパク発現を比較したところ変異株において、EGFR下流の因子およびSp1/DPDの発現低下を認めた。 ③過去の報告で、EGFR変異を有する患者は野生型と比較し5-FU系抗がん剤の効果が乏しいとされている。今回WST-1 assayで5-FU+Inhibitorsの併用実験を行った。変異株において有意に併用群でcell viabilityの低下を認めた。これは変異株においてinhibitor投与によりDPD発現の抑制に伴う5-FU感受性の改善が得られた可能性が考えられた
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